2017年07月21日
パク・チャヌク監督「オールド・ボーイ」
駄作。
第57回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を獲得したとカバーにあったので、借りてきて観たけれど、火曜サスペンス劇場をどぎつくしただけの、くだらない作品でした。カンヌの当時の審査員長はタランティーノで、本当はこの作品をグランプリにしたかったそうな。
カンヌという映画祭もひどい映画に賞を与えてきたけれど、これはきわめつけ。もともとタランティーノはまったく信用のおけない映画監督だけれど、彼がこれを推奨するのは分る。似た者同士。
小説でも語り口の上手なアガサ・クリスティ―の作品などは読んでいて楽しいけれど、下手や推理小説がつまらないのは、そういう語り口のうまさもなく、必ず作者が前もって用意した答があって、作品はそこに至るもっともらしい筋道に過ぎないからで、読者に手がかりを与えないでいくら「意外な」結末を迎えたところで少しも感動があるわけではない。
まともな小説なら結論を知って逆から読んでも面白いけれど、つまらない推理小説は逆から読めばどだい作品にも何もならない。ほとんど最初から殺人の事情も犯人も明かされる「罪と罰」が何度どこからどう読んでも面白いのに、そこらに無数に出ている推理小説は結末を隠して最初から読んでも一度読んだら読み捨て。
映画だって同じで、この作品などは結末を知ったらあほらしくて、或る意味で見ごたえがあるのはちょうど私が正真正銘の医師にやられたみたいに(笑)無理やり歯をやっとこで抜くいたぶりやら、腕の切り落としやら、自分で自分の舌をハサミでちょん切るような、サディスティックな異常描写だけで、もちろんその「見ごたえ」は映画としての「見ごたえ」などではさらさらなくて、単に何か観客が引くようなショックを与えればよし、というB級ホラー的な目の刺激剤に過ぎない。それはタランティーノ好みのものでしょうが。
実際、逆から観れば、姉妹相姦の弟が姉を’風評’を流して心理的に追い詰めて「殺した」上級生を恨んで、異常性格者としか思えない陰湿で執拗なやり方で追い詰めるというだけの話。その陰湿で執拗なやり方の工夫があると言えばあるけれども、それは B級ホラーが色んな脅しの小道具を考え、B級忍者映画が色んなおもちゃの武器を使うのと同じで、15年間理由も告げずに男を監禁するとか、妻子を殺すとか、釈放したのも罠で、そこからがいっそう心理戦的に傷を深くえぐるような復讐で、漫画的に催眠術なんかで誘導して若い女と相思相愛にさせて、その女をイジメることで男を跪かせる、みたいな、本当にくだらない思い付き。
なぜそんなつまらない芝居がかった大仰な仕掛けや小道具で、人間の深い憎悪やその源泉にあったはずの純粋な愛情が表現できるなどと錯覚するんでしょうね。
よくまぁこんなつまらない作品にカンヌが審査員特別賞なんか与えたものです。審査員たち自身の無能さを証明した作品として歴史に残るのでは。
第57回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を獲得したとカバーにあったので、借りてきて観たけれど、火曜サスペンス劇場をどぎつくしただけの、くだらない作品でした。カンヌの当時の審査員長はタランティーノで、本当はこの作品をグランプリにしたかったそうな。
カンヌという映画祭もひどい映画に賞を与えてきたけれど、これはきわめつけ。もともとタランティーノはまったく信用のおけない映画監督だけれど、彼がこれを推奨するのは分る。似た者同士。
小説でも語り口の上手なアガサ・クリスティ―の作品などは読んでいて楽しいけれど、下手や推理小説がつまらないのは、そういう語り口のうまさもなく、必ず作者が前もって用意した答があって、作品はそこに至るもっともらしい筋道に過ぎないからで、読者に手がかりを与えないでいくら「意外な」結末を迎えたところで少しも感動があるわけではない。
まともな小説なら結論を知って逆から読んでも面白いけれど、つまらない推理小説は逆から読めばどだい作品にも何もならない。ほとんど最初から殺人の事情も犯人も明かされる「罪と罰」が何度どこからどう読んでも面白いのに、そこらに無数に出ている推理小説は結末を隠して最初から読んでも一度読んだら読み捨て。
映画だって同じで、この作品などは結末を知ったらあほらしくて、或る意味で見ごたえがあるのはちょうど私が正真正銘の医師にやられたみたいに(笑)無理やり歯をやっとこで抜くいたぶりやら、腕の切り落としやら、自分で自分の舌をハサミでちょん切るような、サディスティックな異常描写だけで、もちろんその「見ごたえ」は映画としての「見ごたえ」などではさらさらなくて、単に何か観客が引くようなショックを与えればよし、というB級ホラー的な目の刺激剤に過ぎない。それはタランティーノ好みのものでしょうが。
実際、逆から観れば、姉妹相姦の弟が姉を’風評’を流して心理的に追い詰めて「殺した」上級生を恨んで、異常性格者としか思えない陰湿で執拗なやり方で追い詰めるというだけの話。その陰湿で執拗なやり方の工夫があると言えばあるけれども、それは B級ホラーが色んな脅しの小道具を考え、B級忍者映画が色んなおもちゃの武器を使うのと同じで、15年間理由も告げずに男を監禁するとか、妻子を殺すとか、釈放したのも罠で、そこからがいっそう心理戦的に傷を深くえぐるような復讐で、漫画的に催眠術なんかで誘導して若い女と相思相愛にさせて、その女をイジメることで男を跪かせる、みたいな、本当にくだらない思い付き。
なぜそんなつまらない芝居がかった大仰な仕掛けや小道具で、人間の深い憎悪やその源泉にあったはずの純粋な愛情が表現できるなどと錯覚するんでしょうね。
よくまぁこんなつまらない作品にカンヌが審査員特別賞なんか与えたものです。審査員たち自身の無能さを証明した作品として歴史に残るのでは。
saysei at 23:50│Comments(0)│