2016年08月28日

映画「クレオパトラ」

死のクレオパトラmini

 私が高校生のころに、受験勉強している私に留守番させて父母が珍しく二人で観に行った映画がこれでした。たぶん封切でハリウッド超大作ということで評判だったのでしょう。

 帰ってきた二人に、どうだった?と訊くと、「う~ん、超大作には違いないが・・・」とか「エリザベス・テーラーは綺麗だったけどねぇ」と歯切れの悪い感想だったのを覚えています。私自身はそれから半世紀、見ずにいたのですが、とうとうDVDで2枚組のプレミアエディションを観ました。

 古代ローマ関連の映画をひろっていた中で、さすがにこれはハリウッドが当時の4400万ドル、現貨幣換算で3億ドル(ウィキペディアによれば)もかけて、超豪華キャストに二十数万人のエキストラを使って、20世紀フォックスが経営危機に陥ったというほどの作品ですから、舞台背景の大がかりなこと、クレオパトラのローマ入場シーンの華麗さ、ローマ軍の進軍光景、海戦など、これまで見た古代ローマも史劇のどれよりも見ごたえがあり、美術、衣装も豪華絢爛でした。いかにハリウッドといえども、もうこういう映画は作れないでしょう。いまなら同じ金をかけるにしても全部CGでやってしまうでしょうから。でも、やっぱり本物のつくりもの(というのも語義矛盾みたいですが)の迫力というのはあるんだな、と言う気がします。

 しかし史実を大雑把には踏まえながら書かれた脚本はちっとも良くないので、エリザエス・テーラーの美しさや舞台美術に気を取られているうちはいいけれど、実に退屈なところも多々あります。もとは前、後編6時間の大作だったのを営業上の理由でプレミア上映時に4時間5分に、劇場版では3時間14分に縮めたというのですから、もとの6時間だったらどんなに退屈だったか、いや或いは変にカットすることでわけがわからなくなって劇的なところも盛り上がらなくなったのか、そこのところは判然とはしませんが・・・。

 初老にさしかかったシーザーを演じるレックス・ハリソンは良かった。アントニー役のリチャード・バートンは、いままで最低10回は見た娯楽戦争スパイものの「荒鷲の要塞」 でファンになっていた上手い役者で、中年でも浮名を流すモテモテの非常にセクシーな魅力をもつ男優ですが、このときはエリザベス・テーラーとの不倫がスキャンダルになって映画を盛り上げたようです(笑)。彼ももちろん悪くないけれども、彼はやっぱりもてる役の方が似合う。意志も強そうだし、どんな恋をしても一方で非常に冷酷といってもいいクールさを失わない男という印象で、クレオパトラに惚れて腑抜けになってしまうアントニーが適役とは思えません。

 物足りないのはオクタヴィアン(アウグストゥス)役のロディ・マクドウォール。助演賞か何かもらうところだったらしけれども、それはこの作品そのものがオクタヴィアンを、機会に便乗してうまくやった狡猾な小人物 のように描こうとしているから、確かにそういう人物造型はできていたかもしれませんが、史劇としてはこういうオクタヴィアンの造型はドラマとしていかにもちゃちな感じがします。部下よりも貧相なオクタヴィアンでは困ります。せめてリチャード・バートンと互角に張り合えるような彼であってほしかった。

 まぁ古い古い映画にこんな愚痴を言ってもしょうがないのですが(笑)、それでも午前中に今日の原稿を書いて、きょうは文書整理のほうはお休みして、この映画をそれなりに楽しませてもらいました。 

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saysei at 01:18│Comments(0)TrackBack(0)

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