2016年07月25日
J.C.チャンダー監督「アメリカン・ドリーマー 理想の代償」
この主人公を演じるオスカー・アイザックは、たしかにうまい役者だと思いますが、見ていて、これはインテリやくざならぬインテリマフィアか何かじゃないか、とひそかに思っていました。
いつ本性を出すのか、出すのか、と思ってみていたら、いや実は運送業で成功したがいろいろ嫌がらせにあったり、どこでもやってそうな脱税容疑で告訴されたりという不運にみまわれて、あやうく倒産という瀬戸際をなんとか綱渡りして生き延びる、まっとうなビジネスマンという設定のようです。
それも金さえ儲かればいい、結果さえ出ればいい、というビジネスマンではなくて、成功をどうやって手にするか、そのプロセスが大事なんだ、というビジネスマンの鏡みたいな人なのですね。
ところがその風貌は、ゴッドファーザーに出てくるアンディ・ガルシアみたいに、甘いフェイスでスタイリッシュなところのあるダンディな印象で、地べたを這うように金儲けに励んで成り上がった経営者のようには見えません。
若くてイケメンだし、少し知的で柔らかい印象もあるから、きっと外向きの顔がそうで、自分では手を汚さないけど、金や暴力などで相当悪辣なことをしてのしあがってきた、実は冷酷な裏の顔を持つマフィア・ビジネスマンじゃないか、と思ってしまいます。役の中の奥さんの親父さんがギャングだったみたいだから、よけいそう思っていました。
奥さんがわりと過激なのを、旦那はいつも押さえてかかるのも、彼が奥さんの過激さなんかちっちゃく見えてしまうくらい大きな悪をなす者だからに違いないと思い、「いつその顔を見せてくれるんだ?」と思っていたのです。
ところが実は最後まで彼は「いい人」でした。不運にみまわれながら、金策にかけずりまわり、盗まれた燃料を盗んだやつから取り戻そうとし、逮捕を避けて逃げた従業員を今ならまだ間に合うからなんとかしてやろうと探し回り・・・と、まっとうな努力をしてなんとかしのぐ算段をつけるのです。
それならそうと、最初から最後まで模範的ビジネスマンでいればよかったのですが、最後は奥さんが会社の利益隠しをしてためていたお金で救われるところなんか、私は拍子抜けしてしまいました。
これはゴッドファーザーみたいなマフィアもの、犯罪ものではなくて、ビジネスの世界で事業を拡大しようとがんばる比較的若い経営者の苦労話なんですね。
犯罪ドラマなんていう紹介もあるけど、それはどうかな。犯罪が多かった1980年代初頭のニューヨークのトラック運送業界という、少々荒っぽいところのある世界だから、同業他社が成功者を妬んでチンピラを雇って、暴力的にトラックごと盗み、燃料を売り飛ばしたりとか、法令違反をして告訴されるとか、いろいろあるけど、まあ企業社会ならどこにでもころがっている話です。
大胆な投資をしてその支払い期日が迫る中で、トラック&燃料を奪われる事件の頻発で従業員が犯罪に巻き込まれてしまったり、脱税で告訴されたり、銀行に見放されて資金繰りにいきづまったりするのも、どこにでも似たような話はあります。ただそれを夫婦関係や従業員との関係などこの夫婦個別の状況として丁寧に描いて、どう彼らの夢が潰えそうになり、どうそれを必死になって防いでいくか、その辺りが見どころということになります。
アメリカ映画なんだから、いっそのことオスカー・アイザックは表面はソフトでダンディな若い成功者としてのビジネスマンながら、知的やくざとして、裏金も暴力もお手のものの冷酷非道な裏の顔を持つゴッドファーザーみたいなやつにしてしまったほうが、エンターテインメントとしては面白い作品ができたような気がします。
いつ本性を出すのか、出すのか、と思ってみていたら、いや実は運送業で成功したがいろいろ嫌がらせにあったり、どこでもやってそうな脱税容疑で告訴されたりという不運にみまわれて、あやうく倒産という瀬戸際をなんとか綱渡りして生き延びる、まっとうなビジネスマンという設定のようです。
それも金さえ儲かればいい、結果さえ出ればいい、というビジネスマンではなくて、成功をどうやって手にするか、そのプロセスが大事なんだ、というビジネスマンの鏡みたいな人なのですね。
ところがその風貌は、ゴッドファーザーに出てくるアンディ・ガルシアみたいに、甘いフェイスでスタイリッシュなところのあるダンディな印象で、地べたを這うように金儲けに励んで成り上がった経営者のようには見えません。
若くてイケメンだし、少し知的で柔らかい印象もあるから、きっと外向きの顔がそうで、自分では手を汚さないけど、金や暴力などで相当悪辣なことをしてのしあがってきた、実は冷酷な裏の顔を持つマフィア・ビジネスマンじゃないか、と思ってしまいます。役の中の奥さんの親父さんがギャングだったみたいだから、よけいそう思っていました。
奥さんがわりと過激なのを、旦那はいつも押さえてかかるのも、彼が奥さんの過激さなんかちっちゃく見えてしまうくらい大きな悪をなす者だからに違いないと思い、「いつその顔を見せてくれるんだ?」と思っていたのです。
ところが実は最後まで彼は「いい人」でした。不運にみまわれながら、金策にかけずりまわり、盗まれた燃料を盗んだやつから取り戻そうとし、逮捕を避けて逃げた従業員を今ならまだ間に合うからなんとかしてやろうと探し回り・・・と、まっとうな努力をしてなんとかしのぐ算段をつけるのです。
それならそうと、最初から最後まで模範的ビジネスマンでいればよかったのですが、最後は奥さんが会社の利益隠しをしてためていたお金で救われるところなんか、私は拍子抜けしてしまいました。
これはゴッドファーザーみたいなマフィアもの、犯罪ものではなくて、ビジネスの世界で事業を拡大しようとがんばる比較的若い経営者の苦労話なんですね。
犯罪ドラマなんていう紹介もあるけど、それはどうかな。犯罪が多かった1980年代初頭のニューヨークのトラック運送業界という、少々荒っぽいところのある世界だから、同業他社が成功者を妬んでチンピラを雇って、暴力的にトラックごと盗み、燃料を売り飛ばしたりとか、法令違反をして告訴されるとか、いろいろあるけど、まあ企業社会ならどこにでもころがっている話です。
大胆な投資をしてその支払い期日が迫る中で、トラック&燃料を奪われる事件の頻発で従業員が犯罪に巻き込まれてしまったり、脱税で告訴されたり、銀行に見放されて資金繰りにいきづまったりするのも、どこにでも似たような話はあります。ただそれを夫婦関係や従業員との関係などこの夫婦個別の状況として丁寧に描いて、どう彼らの夢が潰えそうになり、どうそれを必死になって防いでいくか、その辺りが見どころということになります。
アメリカ映画なんだから、いっそのことオスカー・アイザックは表面はソフトでダンディな若い成功者としてのビジネスマンながら、知的やくざとして、裏金も暴力もお手のものの冷酷非道な裏の顔を持つゴッドファーザーみたいなやつにしてしまったほうが、エンターテインメントとしては面白い作品ができたような気がします。
saysei at 00:57│Comments(0)│TrackBack(0)│