2025年02月

2025年02月28日

「オジサン」という名の魚

「オジサン」という名の魚
  きょう、HELPで牛乳と、なにか適当な魚をみつくろってきて、と言われて牛乳2本と、あと魚屋さんで何にしようかな、と見ていたら、なんと「オジサン」という名の赤い魚が出ていました。あとで調べてみると、スズキ目ヒメジ科の魚だそうです。もちろん見たことも食べたこともなかったので、そういう時はとにかく試してみるのがわが家の食卓なので、買ってきました。結構大きな魚で、二人で食べるには一尾で十分だし、598円というのはそう高くないほうの魚です。

さんまいにおろす
 家に帰ると、パートナーも珍しい魚を喜び、早速ネットで料理法を調べると、刺身、塩焼き、揚物など何にでも使えそうだとわかり、またスズキの仲間だとわかると、バター焼きにすれば美味しいかもしれない、と言って、早速三枚におろしてくれました。新鮮だからか、身がひきしまっていて、真ん中の背骨のあたりが硬くてなかなかおろすのが大変だったみたい。

★オジサンのバター焼き
 かくして、「オジサン」のバター焼きのできあがり。身がぎゅっとしまって焼くと丸く湾曲していました。味の方は癖のない、スズキの仲間らしい味で、バター焼きがとても合っていました。全然硬くなんかなくて、腹筋で鍛えた三段腹の筋肉みたいに、一塊ごとの身が簡単にほぐれてきて、とても食べやすく、皮も独特の食感と味で、美味しくいただけました。添えた野菜は、ロマネスコ、シイタケ、ベーコンのディルマヨ・オーヴン焼き。ロマネスコは茹でずに、生のを焼いていて、これも正解でした。
 「オジサン」のアラはアス、味噌汁に使うそうです。

★ミートソースパスタ
 ミートソースパスタ。トマトの酸味が効いていて、美味しかった。

★カボチャスープ
 カボチャスープ。先日、戸田農園さんで今回は少し小さめのわが家に適当なサイズのを買ってきました。カボチャは半年おいといたからといって熟すわけではないようなので、早々に使ったそうですが、とても美味しかった。

★パンコントマテ
 パンコントマテ。パンはカナートのドンクで売っている「パンドママ」の端パン。トマトはもちろん上賀茂の戸田農園さんのトマトで、切る時から、果物のように香りが高かったそうで、非常に甘味の強いトマト。同じトマトでも、なぜ戸田農園さんのトマトはこんなに甘いのだろう?ひょっとして肥料に大量の砂糖を使っているのかしら、などと冗談を言いながらいただきました。

(以上です)

 「瑯琊榜」はUNEXTで無料で見放題になりました。もうBS11での放映が終わりに近づいたので、録画したい人はしているでしょうし、UNEXTもこのタイミングで有料だったこの番組を無料で解放したのでしょう。でもまあ、一日おきくらいに、早めの入浴でほっと一休みという夕食までの時間帯に録画しておいた1回、2回分くらいを見るのを楽しみにしてきたので、あわてて最終回まで見る必要もないし、マイペースでおわりまで見ようと思っています。

 先日、赤焔軍に夫を殺されたと懸鏡司首領で師匠の夏江に思いこまされていた夏冬は、梅長蘇のはからいで牢にとらわれた謝玉と夏江の会話を聞いて、自分が欺かれていたことを知り、夏江らにとらえられた赤焔軍の生き残りである副将軍衛崢の奪還に際して師匠を裏切って重要な役割を果たし、また夏江の策謀を王の前で暴く証言をして夏江が捕らえられる上で決定的な役割を果たしますが、もちろん自らも師匠に忠実だった部下として捕らえられます。

 他方、王が催した狩猟会で九安山にいたとき捕らえられた「獣」が実は人間で、赤焔軍の生き残りの副将軍で、夏冬の夫である聶鋒だと気づいた梅長蘇は、自分と同じ病に冒されている彼の治療のために
藺晨を呼び寄せ治療させると同時に、牢の中の夏冬に身代わりを立てて夫聶鋒に再会させます。

 誉王の謀叛で王も靖王も梅長蘇たちもみなが危機的状況に陥った中での脇道のようなエピソードではありますが、もともと赤焔軍の謀叛の証拠とされたのが、この聶鋒の筆跡を偽って届けられた密書だったこともあり、夏江らの陰謀を暴く生き証人と言って良い人物なので、単に夫と妻の再会というラブロマンス的エピソードではありません。

 しかし、その再会のシーンはひとつのクライマックスでもあり、変わり果てた異形の夫と再会して、夏冬がどんな風に振る舞うか、固唾を呑んでみていると、彼女は静かに「おかえりなさい」と迎えるのですね。このシーンは本当にすばらしいシーンでした。脚本家に脱帽です。涙にくれて抱き合うとか変わり果てた姿に戸惑うとか、歎くとか、そんな大仰な演技は一切ありませんでした。

 このドラマがみごとなのは、そういう脇道エピソードの細部の演出まで行き届いた気配りで、徹底して考えられている点でしょう。どうやら台湾や香港の映画人が多数加わってもいるようで、それらの豊かな資産をひきついで、華流ドラマは日本のドラマが逆立ちしてもかなわない力量を蓄えて、この種のドラマを創り出しているようです。

 俳優もいわゆる姿かたちだけの美男美女はほとんど見当たらず、その存在感と演技力で見る者を圧倒します。それは視聴者が心を寄せる主人公の陣営の諸人物だけではなく、小心で猜疑心が異常に強く、この上なく残虐な王も、徹底的に梅長蘇や靖王を追い詰めては危機に陥れる懸鏡司夏江、あるいは最大のライバルだった皇太子を追い落とすことに成功する誉王にしろ、主人公の敵方の面々の圧倒的な存在感にも、キャスティングの卓抜さを見ることができます。日本のドラマの現状を考えるとき、まったく羨望を禁じ得ない製作体制だと言わざるをえません。





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「金々先生栄花の夢」を読む

 先週のNHK大河ドラマ「べらぼう」で、「逆襲の金々先生」という回があって、鱗形屋が『金々先生栄花夢』という青本の新機軸を出して、蔦重も読んで大層面白がり、これは売れると言う場面がありました。

 どんな内容だったのかな、と思って調べてみると、手元の小学館日本古典文学全集の「黄表紙 川柳 狂歌」の巻に収録されていました。

夢みる金々先生①(「黄表紙 川柳 狂歌」日本古典文学全集 小学館 昭和46年刊 より)

  お話は、作者で画工の恋川春町がその序で「文に曰く、浮世は夢の如し。歓をなす事いくばくぞやと。誠にしかり、金々先生の一生の栄花も邯鄲のまくらの夢も。ともに粟粒一すひの如し。」と言っているように、片田舎に住んでいた「金むらや金兵衛」なる者が、生まれつき心優しく、風流を解する者であったから、浮世のたのしみをつくそうと思うのだが、貧しくて思うにまかせない。

  そこで繁華な都へ出て奉公口にありついてうんとお金を稼ぎ、江戸のたのしみをきわめようと思い立ちます。まずは運の神である目黒不動尊へ参詣して幸運を祈り、夕方になって空腹を覚えたので、付近で名物として知られる粟餅を食べに店に寄ります。ただ、粟餅がまだできていなかったので、しばらく待っているうち、旅の疲れが出て、そばの枕を引きよせてまどろみます。

  その夢に現れたのが、宝泉寺駕籠に乗り、大勢の供をつれた行列で、これが神田の八丁堀に長年暮らす和泉屋清三(せいざ)の家来なる者で、主人清三が老衰いちじるしいが、子もないため、跡を継がせる者を探していたと言います。そこへ、金兵衛が出世を望んでここまで来たと聴いて、これは主人が信じる「万八幡大菩薩」のお告げどおりだというので、金兵衛を無理に宝泉寺駕籠に乗せて和泉屋に連れていき、その後は跡取り息子「若旦那」として大切に扱います。

  金銭に不自由のなくなった金兵衛は日夜酒宴を催し、もともとの風流人ゆえ、身ごなしも当世の洒落を尽くし、さらに類は友を呼んで、手代源四郎、太鼓持ち万八、座頭五市などが彼の取り巻きとなり、その名に因んで「金々先生」などと呼ばれて、いい気になっています。
  
  やがて源八郎の「なんと旦那、うちでばかりのさはぎは、とんんとさへませぬ。あしたは北国(ほっこく)へ、いき山とおでかけなさりませ」(北国=新吉原遊郭の通称)とそそのかされて出かけます。

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 そこから金兵衛は「かけの」という遊女にぞっこんになって、楼閣に夜ごと上り詰めることになります。そして、年越しの夜になると、源四郎の勧めで「まめはふるしと、金銀をますに入、節分の祝儀をいわいける」といったありさまで、上手のように金銀をばらまいております。
 
 「北国」新遊郭のあそびも尽きると、こんどは岡場所辰巳の里(深川遊里)へ出かけて、遊蕩の限りを尽くし、「おまづ」なる遊女にぞっこんになって、毎日足を運び、金銀を散財します。
 ところがこの「おまづ」、表向きは金々先生にはまっている様子を取り繕いながら、内緒で源四郎と通じて楽しんでいたのです。そして金々先生の前で挟みことばを使った一種の暗号文で源四郎との逢引きの意志を交わすほど図々しい振る舞い。

 さすがに金々先生も、「おまづ」の振る舞いが不審で、いざこざを起こし、結局彼女とも切れてしまいます。
 こうして金々先生、手痛く騙され、金をむしりとられて、もはや彼の金の威光も失せて、日ごろ彼に平身低頭だった者たちも知らんふりをして寄り付かなくなります。仕方がないので、吉原や深川よりもさらに格の低い品川(宿駅)の女郎のもとへ通うまでになってしまいます。

 「きのふまでは金々先生ともてはやされ、猪牙(ちょき)や四つ手にのりし身が、いまはぱっちにひより下駄、かわればかわる世の中じゃな。アゝいまいましい」

 いまでは身代も傾きかけてきたので、父文ずい(金兵衛に身代をゆずって出家した和泉屋清三)も大いに怒り、手代源四郎のすすめにまかせて、金々先生のみぐるみ剥いで、昔の姿のまま追い出してしまいます。

金々先生③
  手代源四郎は、はじめ金々先生をそそのかし、多くの金銀をつかわせ、そのあまりは全部自分がくすねてしまったのです。それで、物をぬすむことを「源四郎」というのだそうです。

  和泉屋を追い出された金々先生、いまは立ち寄るところもなく、途方に暮れて歎いていましたが、粟餅の杵の音におどろいて目覚めます。
  起き上がってみれば、すべては「一睡(炊)の夢」で、あつえた粟餅はまだできあがってはいません。そこで金兵衛さん、手を拍って、「われ夢に文ずいの子となりて、栄花をきわめしもすでに三十年、さすれば人間一生のたのしみもわづかに粟餅一臼の内のごとし」とはじめてさとり、すぐに田舎の故郷に引っ込んでしまいました。

  最後の一行は、粟餅屋の女のセリフ:

  「もしもし、餅ができました」

  この話は誰もがわかるように、中国の「邯鄲の枕」の故事と話の結構がそっくりで、あきらかにこれを日本に置き換えたお話ですが、その換骨奪胎ぶりはなかなか堂に入ったもので、これ自体でよくできた読み物になっています。蔦重がいわばライバルの鱗形屋の出版物であるにも関わらず、すなおに面白い、と評したのも無理はありません。

  この「金々先生栄花夢」以前の青本は、テレビドラマの中で蔦重が言っていたように、ちっとも面白くなかったようです。絵が中心で、話はとってつけたようなものでしかなかったようです。
  それが、この春川春町という絵師にして物語作者の登場によって、青本は大きな転換期を迎え、従来の青本とは区別して「黄表紙」と呼ばれるようになったそうです。子供向きの絵本である「赤本」、おとなが読める娯楽本「青本」、そしてその青本の物語性が豊かになり、時代への風刺をきかせた「黄表紙」と表紙の色で区別される草双紙の発展の、これはひとつの画期をなす出版物だったようです。

出版目録

 これは私が読んだ小学館日本古典文学全集版の「金々先生栄花夢」の本文のすぐあとに掲載されている鱗形屋が出版した青本(黄表紙)を列記した目録で、安永五年(1776)のものだそうす。物語の本文の最後のページが表で終わる場合は、裏にこのような目録を載せることが多かったとのこと。

 絵師の名に恋川春町の名がありませんが、目録には「金々先生栄花夢」が出ています。

 目録
  これは同じく目録ですが、安永五年のもので、目録には前年に出版された「金々先生栄花夢」がみえませんが、絵師の欄には、恋川春町の名が見えます。









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2025年02月27日

「織(しき)」のボンボンチョコ

  きょうもいいお天気でした。でも上賀茂へは行かずに、チョコレートの「織(しき)」というお店へ電動アシスト自転車で行ってきました。今出川智恵光院を南へ少しいくと右手に公園があり、その前(北側)の並びの中に、小さなお店があります。これといった目印もないので、さっと通り過ぎると見落としオスになったり、きょうは休業日かな、と思ったりしそうですが、小さな文字で「open」と書いてあるので、ようやく開店営業中だとわかります。

 お目当てのボンボンチョコはこのところずっと、ネットでの販売を中止していて、店へ行けば買えるようなことが書いてあったので、思い切って行ってみたのですが、10個入りは完売。買えるのは5個入りセットだけでした。1箱2400円だからボンボン1個が480円ということになります。ちょっと前までならケーキ並みだね、というところですが、最近はちょっとしたケーキが1個700円から1000円くらいするらしいので、そうも言えなくなってきました。これを高いとみるか、リーゾナブルな価格だとみるかは、人によって違うでしょう。

 しかし、味のほうは、パートナーがいままで食べたチョコの中で一番美味しい、というほど濃密な美味で、ごまかしのない味です。ただ、残念なのは、プレゼントに丁度手ごろな6個入りとか8個入りの箱入りが以前はあったと思うのですが、いまは5個と10個の2種になっているらしく、おまけにきょうはこちらをつくり、明日はあちら、と定まらず、わざわざ店へ行っても、よほど運がよくないと、思うようなボンボンチョコが買えないことです。

 おそらく店のオーナーでもあるフランス帰りのパティシェが一人で一品生産みたいなやり方で作っているのでしょう。店売りの種類も量も極めて限られているので、以前にも何人かに贈るのに、いくつかほしいと思ったけれど、一箱しか買えず、あとはあらためて予約して、とりにくるか、郵送かということになったことがあります。

   まあこういう、実質的に一人でやっている店ではやむをえないかもしれませんが、これだけの味が出せるなら、展開の余地は大きいと思います。しかし、属人的な技能に依拠している限りは困難で、うまく技術化して属人性を脱し、第二、第三のパティシェを育てて、同じ味がつくれるようにしないと、いつか息切れしてしまうのでは、とよそごとながら危惧しています。

 さて今日買ってきた5個×2箱は、パートナーと次男の誕生日が近いので、漠然とその目的をもって買ってきたのですが、5個ずつ、というのはちょっとプレゼントとしては少なすぎるかな・・・。バレンタインのお返しにホワイトデーにでも渡す分にはいいでしょうけど、5個くらいだとあっという間に食べてしまいそうですね。

 織さんの帰りには、叡電前のスガ薬局に寄って、アスゲンを70錠ほど買ってきました。1回3錠で朝昼晩と服用するので、のむときは日に9錠のむことになり、70錠というと多いようだけれど、8日ほどでなくなってしまいます。

 それでもこの薬剤は花粉症にはとてもよくきいて、先日来のあふれ出てくるハナミズがピタリととまっています。しかし対症療法ですから、のむのをやめれば、すぐにまたハナミズが出てきます。のむと眠気がひどく、体もだるいので、なるべく早く「卒業」したいけれど、花粉症の季節はまだこれからが本番のようです。


きょうの夕餉

★酢豚
 華流ドラマ(瑯琊榜)をみたからきょうは中華風の献立とパートナー。きょうのメインは酢豚。

★白菜、鶏肉、干し椎茸、エノキのうま煮
 白菜、鶏肉、乾シイタケ、エノキダケのうま煮

★チーズ入り揚げ餃子
 チーズ入り揚げ餃子

★ほうれん草の胡麻和え
 ほうれん草の胡麻和え

★大根の煮物(のこり)
 大根の煮物(のこりもの)

★エビ豆、スグキ
 えび豆、スグキ、キムチ

(以上です)

八朔のピール菓子
 先日来食べた八朔の皮でつくったピール菓子。適度な苦みもあって、とても美味しい。

八朔のピール菓子2
 3個くらいの八朔の皮でしたかねぇ。たくさんの素敵なおやつができました。

スコーン
 これは、きょうパートナーが焼いたスコーン。おひるに一ついただきました。クロッテッドクリームの良いのが国内では手に入らないので、かわりにホイップした、濃い目の生クリームを使い、ラズベリージャムやママレードをのせていただきました。下手なクロッテッドクリームなど使うよりずっと美味しくいただけます。

saysei at 21:25|PermalinkComments(0)

2025年02月26日

花粉症の症状はピタリととまったけれど・・/「契情買虎之巻」を読む

 昨日からのみはじめたアスゲンで、ここ1,2か月は起床時からずっとハナミズが途絶えず、自転車で上賀茂などへいっても、ひっきりなしにハナミズが湧き流れて、信号でとまるたびにべちゃべちゃになるマスクをとっかえ、たくさん用意したティッシュ―で洟をかんでなんとかしのいできたのですが、嘘のようにピタリとその症状がとまりました。

   もう何年か前から、花粉症がひどくて、医者が処方するアレルギー抑制剤なども使ってみたけれど、全然きかず、きくのはアスゲンだけ、ということは分かっていたのですが、かなり強い眠気を催すので、こんなのをずっと飲み続けていたら確実に頭が働かなくなって、はやくボケそうだなぁと思ったので、なるべく服用しないようにしていたのです。けれどもあんまり症状がひどくて、ひょっとしたら最近頻繁におきる頭痛も花粉症からくるものではないか、という疑いを生じたので、昨日からアスゲンをのんでいます。

 頭痛の方がこれで収まるかどうかは分からないけれど、いまのところ頭痛は起きていません。きく薬というのは、それだけ身体に強い作用を及ぼすわけで、もともと身体にとって薬=毒物ですから、いずれにせよできるだけのまないに越したことは無いのでせすが、これほどひどい症状が続くとやっぱりある程度のんで症状がおさまるのを待つようにしないと、それはそれで何をしようにも差支えるので、痛しかゆしですが、いまは飲む方を選択しています。

 その為に終日ぼぉーっとし、ときにうとうとしたり、なにもせずに椅子に寝そべって時を過ごすような状態で、どっちみちおちついて読んだり書いたり考えたりする気になれないので、きょうはいままで面倒でほうっておいた確定申告の書類を作成することを思い立ち、半日がかりで夕食前には仕上げました。去年も書きましたが、私の収入はいまや年金しかないので、厚労省のと私学共済と二つあわせても年間の収入はごくわずかだし、特別なことは何もないので、他人が見れば、こんなに簡単な確定申告はないよ、と思うでしょうし、いったいなんで半日もかかるんだ?と不思議がるかもしれません。

 けれども、私はこの種のお役所の書類づくりが非常に苦手だし、おまけに数字いじりが多いので、それも極端に不得意で、電卓を何度たたいても合わなかったりすることが多いので、私なりにひどく苦労するのです。所得がいくらまでなら、この欄に従って計算してある数字をはじき出す、というような条件つきの計算がたくさんあって、単にこちらの証拠書類の数字をそのままあっちへ移せばいいというものでもないので、そのへんが実に面倒で煩わしい。医療費は色んな補助を受けながらも自己負担分だけでも結構多くなっているので、とっておいたたくさんの領収書の数字をひろってみたけれど、還付される下限の10万円にあと何千円だったか不足で、結局還付無し。これだけたくさんの領収書を気をつけて残し、計算してみたあげく、一円も帰ってはきません、となるとどっと疲れます(笑)。

 こういうことでは、とてもじゃないけれど、私には何かお店をやって個人事業主として確定申告するなんてことは、到底無理でしょうね。きっとそこらのラーメン屋さんとかパン屋さんとかたこ焼き屋さんとかの御亭主でも、そんなことはお茶の子さいさいでやってしまえるのでしょうが、私にはそういうのは神業としか思えません。

 しかし、今日良かったのは、苦労してようやく最終的な税金の支払いがいくらになったかというと、ゼロでした。つまり支払う必要がなかったのです。例年は、比較的わずかではあっても振り込んでいたので、今年はゼロで助かりました。なぜ違ったのかいうと、岸田首相の公約した「減税」のおかげだったのですね。一人当たり3万円の減税なので、わが家は2人分、6万円の減税ということになり、これを支払うべき税額から差し引くとマイナスになるので、実質的に支払うべき税金はゼロになりました。だから、本来支払うべき税額が2万円だったとすれば、ゼロになったということは、その2万円分が、岸田さんの公約した「減税」分、ということになります。これは私たちのようにささやかな家計にあっては、大変ありがたい恩恵で、岸田さんがああいうことを言い出したときは、そんな面倒なことをせずに、さっさと6万円くれたほうがいいのに、と思いましたが、いまとなれば、たとえ減税が実質2万円ほどになってしまったとしても、ふところから新たに出さなくてはならないお金がなくなる、というのはやはり嬉しいことですね。どうもみみっちい話になってしまいましたが(笑)

 ところで、先に注文しておいた『洒落本大成』の第7巻が届き、早速所収の「契情買虎之巻」を読んでみました。この話はもとは千石を領した者の娘で「おやゑ」といった、「松田屋」の女郎瀬川についての話ではありますが、検校の身請けといった話ではなくて、基本的には「五郷」という男と瀬川の恋愛譚というか、瀬川の悲恋物語のようです。

 おやゑは「まだ十六の薄ざくら。花ものいはず溢(こぼれ)る愛敬。みる人なづまさるはなかりきと也」。五郷のほうは、「こゝに五郷(ごきゃう)といへる大通の色男あり。色艶(こまやか)にすきとをり。鼻すじ唇眼中(めのうち)すずしく、痩(やす)るにあらす肥(こゆる)にあらす。中ぜいにしてのっしりと。黒はぶたへを上になし中着(あいき)はくろ出のかはり八丈。その下にかさねしは。かんとう嶋に古わたりざらさ。もみの袷の半袖じゅばん。皆黒なゝこの襟をかけ。鳶(とび)羽二重のはおり長く。茶どんすの帯をむすび。中はへのさかやきに。すこし大(おゝ)くひたいをかつがせ。ゆいたてならざる水髪本田。うらつけぞうりを。きよらかなるすあしにはき。さも大やうにあゆみくる。取りつくらはぬうつ高さ。しぜんと威あって猛(たけ)からす。」などと、やたら詳細にその男っぷりが紹介されています。

 その五郷が女郎瀬川のところへやってきて、瀬川の打ち明け話を聞きます。「わたしや夫のために。身をうりいした者でござんすが。その夫に死にわかれて。たよりのない身のうへでおざりいす(トしばしなみたにくれけるがやうやうにめをおしぬくひ)せめてぬしでもお出なんすと。ちっとはわすれるひまもありいすが。外(ほか)のきゃくじんへでいしては。かた時もつとまりいせぬゆくすゑながいねんの内は。しぬもしなれぬしゅじんのからだ。きみけいせいと。やつしいすが。心のうちはこれみなんし(トしろむくの。間にかけたる五条げさ。はつかしそふにうちおゝふ。五きゃうも。めにもつ涙のつゆ。掌におしぬぐひ)[五きゃう] としはもゆかぬに。さりとてはよにもまれなるてい女のかがみ。女はさこそありたきもの。聞けばきくほど気がいたむ。・・・とぞっこんほれ込み、いい仲になり、心中を誓い合うほどになります。

 ところが五郷のほうは悪い養母、番頭に座敷牢にとじこめられて動きがとれなくなり、一方、瀬川のほうには、あらたにおお金持ちの「きり山」なる者が瀬川に惚れ込んで、金は千両でも二千両でも出すと言い、瀬川を身請けしてしまいます。瀬川は、「きり山は。せ川をうけ出し。わがものとしてくどけども。けびやうの床にふりつけられ。一どのはしも心みず」というふうに、五郷に義理立てしつづけるのですが、むろん五郷は知る由もなく、瀬川が心変わりした、と思い込みます。

 結局瀬川は、五郷に合わせるという男(軍次)に騙され、殺されてしまいますが、そのお腹の中には五郷の赤ん坊が出来ていて、彼女が亡くなる時に生まれ出ます。

 ここからは幽霊話で、瀬川の一途な思いが、彼女を五郷のもとへ導き、逢うと五郷は瀬川の心変わりをなじって、帰れ、というのですが、瀬川は彼の赤ん坊を残して消え去り、そこではじめて五郷は彼女の本当の心根に気づく、というわけです。

 この洒落本は一般には人情本の先駆けと言われているようですね。


今日の夕餉
★鮭の味噌づけ
 鮭の味噌漬け

★手羽先と大根の煮物
 手羽先と大根の煮物

★わさび菜とロマネスコ、ディルマヨ添え
 わさび菜とロマネスコ ディルマヨネーズ

★モズクきゅうり酢
 モズクきゅうり酢

★ほうれん草のおひたし
 ほうれん草のおひたし

★シイタケの肉詰め焼き
 シイタケの肉詰め焼き

★えび豆、ダイコン葉のジャコ金ぴら
 えび豆、ダイコン葉のジャコキンピラ、スグキ
(以上です)











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2025年02月25日

昨日とは打って変わり・・・

今日の比叡
  本格的な雪で凍えるように寒かった昨日とは打って変わり、きょうは上天気で日差しも暖かく、自転車散歩日和。早速また上賀茂の野菜自動販売機をめぐってきました。
  きょうはダイコン(250円)、トマト(400円)、サラダ用ほうれん草(150円)と言ったところで、珍しいものはなかったけれど、いずれも上賀茂ならではの、中身が新鮮でちゃんとそのものの味がして美味しいだろう野菜ばかりでした。

雪残る北山
 比叡から西へ連なる北山の峰にはまだ雪が残っています。

きょうの夕餉

★蛸ときゅうりの生トマトソースサラダ
 蛸とキュウリの生トマトソースサラダ

★ペンネのキノコクリームパスタ
 ペンネのきのこクリームパスタ

★鶏肉のトマト煮
 鶏肉のトマト煮

★マッシュルム、タマネギ、ジャガイモのスープ
 マッシュルム、タマネギ、ジャガイモのスープ

生野菜スティックサラダ
 生野菜 ディルヨーグルトマヨネーズソース添え

IMG_6499
 パン

(以上です)

 寒い雪の降る日の翌日からりと晴れたりすると、花粉が四散しやすいのご注意を、とテレビで言っていたので、きょうは今年になって初めて、去年買っていた花粉症薬のアスゲンというのを飲みました。ずっと毎日タラタラ流れ落ちていたハナミズがピタリと止まりました。しかし、ボーっとした感じでひどく眠くなり、口が乾いてカラカラになりました。副作用なのでしょう。
 同じ頭痛薬に頼ってばかりいないで、ときには代替手段をとったりして、様子をみながらいくほうがいいと思ったので、昨日からやや頭痛の兆候があったけれど、頭痛薬を飲まずに、アスゲンでしのぎました。頭痛も花粉症のせいかもしれないので。幸い頭痛は起きませんでしたが、こうボーっとしていたら、何もできません。なかなか難しいものです。

 きょうは仕方がないので、大学奉職時のときに撮ったり撮ってもらったりした膨大な写真から精選して、これだけはもう少し残しておこうとアルバムに張っていたのを、シュレッダーにかけるために全部剥がして手提げ袋にほうりこむという作業をしていました。
 以前にも一度、学生さんの写真は大量に処分して、わたしがいなくなったあとに個人情報が遺漏したりすることのないようにと配慮したのですが、それでもなお廃棄しかねて保留していた分だけでもアルバム4冊分もあったのです。
 自分の体調を勘案すれば、もうそろそろヤバいな、と思って、この際全部シュレッダーにかけて処分することにしたのでした。

 学生さんたちが生涯で一番美しく輝いていたときの表情ばかりだから、みんな素敵な写真だけれど、すでに10年も20年も過去の、いまは存在しない幻影でしかありません。今同じ人を撮れば、きっと二人、三人の子育てや、同様に子供と変わらないご亭主の飼育、いや失礼、お世話をするママ兼主婦だとか、職場でバリバリ働いて頼りない男性にはっぱをかけているキャリアOLだとかの逞しい表情がうつるのでしょうね。
 まあ、そういう写真は、私はあえてほしいとは言いませんが(笑)、過去は過去でここいらで始末しておく必要があるでしょう。同様にパソコンや外付けHDその他の記憶装置の中に学生さんたちの写真が残っていないかどうか、もう一度つぶさに点検して削除しておくことにしましょう。




saysei at 21:49|PermalinkComments(0)
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