2022年11月

2022年11月28日

きょうの新聞の話題から(2022.11.28)

きょうの新聞の話題から(2022.11.28)

●岸田内閣、「洗脳下寄付禁止」の国民の要求を頑なに拒む(京都新聞)→旧統一教会の被害者救済新法には、「マインドコントロールされた人の寄付の取り消し規定が必要」と国民の75.8%にのぼるにも関わらず、岸田政権は、洗脳下での禁止規定を新法に明記することを頑なに拒んでいる。

 共同通信社が26、27日に実施した全国電話世論調査によると、岸田内閣の不支持率は51.6%と半数を超え、支持率は33.1%と過去最低だった。

 新聞は汚職疑惑の三閣僚更迭が遅れ、首相の指導力が問われたことに力点を置いているが、それはせいぜい55%といった数字でしかない。

 岸田内閣が一番国民の意志を無視して、この世論調査でも最も反発を買っているのは、75.8%もの圧倒的な国民の意志である、救済新法に「マインドコントロール下の寄付禁止」を頑なに拒否していることだ。

 あれだけ悲惨な家族の分断と財産の苛烈な収奪をもたらし、時に幸せに暮らしていたどこにでもいる家族を地獄へ追い込み、死に追いやった旧統一教会を、いま岸田内閣は必死で守ろうとしている。

 「マインドコントロール下の寄付禁止」条項が、なぜ必要不可欠かと言えば、それがなければ、旧統一教会がこれまで犯してきた凶悪な犯罪のもっとも重大な核心をまったく捉えることができず、事実上、何の効果もない、無意味な法律になってしまうからだ。

 今自民党や公明党が企てている政府案のような、事務手続き上の形式的要件さえ満たせば、自動的に適用されるような規定や処罰は、既存の消費者保護関連法でも、やる気さえあれば、十分に対応できる。

 にも関わらず悲惨な被害が広がったのは、やつらの手口の本質が、人の心を操って支配下に置く、「マインドコントロール」にあるからで、既存法では対応不可能だからこそ、新法を立てて、かならずこの旧統一教会のやり口が叩ける法を作らねばならない。

 岸田が必死で阻止しようとしているのは、その肝心要のマインドコントロール規定なのだ。

 当然彼の頑なな姿勢の背後には、宗教団体を母胎とする公明党の意向があり、彼らと結託して「次の首相」を狙う自民党の「実力者」誰坊の思惑があるだろう。

 ここで旧統一教会を救い、同時に一円たりと寄付を減らしたくない創価学会や公明党に貸しを作っておけば、近い将来大きな力になって返ってくるだろうというのが、いかにもその誰坊が考えそうな、セコイ浅知恵だ。

 すでに岸田政権は、レームダックと化している。

 しかし、それでも政局にならないのは、ひとつには自民党内部に次の球の用意がないからだ。

 選挙も当分はないし、野党はまったく政権担当能力を失ったままだし、政権が不安定になるよりは、岸田がボロボロになるまで首相の座に飾っておいて、天下泰平、コロナや経済対策や防衛を口実にした、財政規律無視のやりたい放題で、責任はいずれ引き摺り下ろす岸田に全部おっかぶせりゃ済むのだから、ここは税金の浪費を楽しむ、与党政治家の特権タイムだ、というのが、彼らのホンネだろう。

 自民、公明がいまだに主張しているのは、「マインドコントロールを定義づけるのは難しい」という意図的な嘘であり、旧統一教会に対する厳しい追及や規制を要求する国民世論に対抗するためのカウンター•キャンペーンだ。

 京都新聞が伝える西田公昭立正大教授(社会心理学)によれば、マインドコントロールは、宗教と名乗らずに伝道したり、支援者を遠ざけたりする「社会的遮断」、地位や財産の放棄などによる「アイデンティティの崩壊」、「恐怖感、無力感の惹起」など五つの要素を持つ。

 マインドコントロールされると「心理操作によって『自己決定権』を放棄させられ、支配者の指示通りの活動を是とする状態」になるという。

 西田教授は「五つの要素などを参考に政治判断で定義し、法律に盛り込むことは十分可能」と指摘している。

 そして、「問題の根本解決には、マインドコントロールからの解放が不可欠」としている。

 当然のことだろう。

 敵はすでにこれまでの実際の収奪の際にも、周到に被害者から「献金は自由意思によって行った」という念書まで用意して、マインドコントロール下の犯罪を隠蔽してきた。

 これを法で禁止できないようなら、「救済法」などに何の意味もない。

●上海で「ゼロコロナ」に抗議、習近平退陣要求も(読売新聞)→上海で11月26日深夜から27日未明にかけて、ゼロコロナ政策に対する大規模な抗議行動が起きた。

 SNS上では、住民らが習近平の退陣を要求する場面の動画が拡散しているという。若者らが「習近平は退陣せよ」「共産党は退陣せよ」とシュプレヒコールをあげたそうだ。

 北京市では複数地域の住民が封鎖された居住区から出てデモを行いら習近平の母校清華大学など各地の大学で学生の抗議行動が伝えられている。

 中国の街頭で最高指導者が直接批判される異例の事態が起きている。

 中国本土では、26日の新規市中感染者が約39,500人と最多を更新した。

 感染者は増加しており、ゼロコロナ政策による厳しい移動制限に住民の不満が高まるが修正できないことがこうした事態を招いている。

 久しぶりに世界のコロナ感染者数の表(読売新聞)を見ると、米国の9856万人は別格としても、英、仏、独、伊、それに日本も、いつの間にか2-3千万人代に達している。

 死者も米国では108万人、EU主要国も軒並み十ないし二十数万人にたっしている。日本は49,324人(27日午後8時現在)。

 やはりパンデミックは大変なことだな、と改めておもう。

 中国本土は累計が144万7527人、死者は5232人だ。しかし、ゼロコロナで経済も無視してむりやり封じ込めているだけだから、いったんタガが緩めば十数億人がここに雪崩込んでくるだろう。

 あまり想像したくはないコロナ後期の光景だが。

●揺らぐサプライチェーン、無理な国内回帰は効率性損なう(日経新聞)→伊藤恵子千葉大学教授が、中国のWTO世界貿易機関加盟を機に、世界貿易の急拡大で、グローバルサプライチェーンを構築してきたが、その中心となった中国から発生した新型コロナによる供給ショックが国境を超えて広がり増幅して、グローバルサプライチェーンの脆弱性を浮きぼりにしたことをふまえ、その再構築について、無理な国内回帰推進は効率性を損なう恐れがあること、プライヤーが多様なほど供給網は頑健であることを指摘している。

 いずれも当然といえば当然のことだが、納得できる指摘だ。

 サプライチェーンの脆弱性に直面すると、すぐに怖気付いて国内回帰に走るおバカな経営者が少なくないから、少しはこういう当たり前をデータつきで当たり前と語ってくれる話も必要だ。

●「反撃能力」と一体運営、衛星50基打ち上げ、攻撃目標を特定(読売新聞)→政府は敵のミサイル発射基地などを攻撃する反撃能力の保有に合わせ、攻撃目標を特定するため、多数の小型人工衛星を一体的に運用して情報収集する「衛星コンステレーション」を整備する方針を固めた。

 2024年度にも打ち上げを開始し、全50基の小型衛星の配備を目指す。

 カメラで地上を撮影する光学衛星と、対象物に反射した電波を観測する合成開口レーダー(SAR)とうさいのSAR衛星の二種。

 内閣官房が運営する情報収集衛星は10基体制でいまは9基が運用されているという。

 おそらく有事に日米が集団自衛権を行使して共同戦略をとるとしても、日本の物理的な力は貧弱だから、日本が実際的な貢献ができるのは、この分野だろう。  

 だいぶきな臭くなってはきたが、必要不可欠な宇宙空間での主導権争いは苛烈になるばかりだろう。

 別の記事では、反撃攻撃に潜水艦搭載ミサイルを使う案が浮上しているらしいこ書かれていた。これまでの地対空防御ミサイルなんかより、はるかに現実的だろう。

 それにしても、こう毎日のように軍事オタクの鼻息ばかり荒い記事を読まされるのにはうんざりする。

 保守でもなんでもよいが、もうすこしは総合的な国力から論じる本格的な安全保障論議はないものか。

 読売新聞が東京都心-臨海部を結ぶ新地下鉄計画に触れた記事の中で、「日本の1人あたり名目国内総生産(GDP)は2000年にはルクセンブルクに次ぐ世界2位だったが、昨年は27位。国際経営開発研究所(スイス)による『世界競争力ランキング』でも1990年代初頭までトップを守ってきた日本はバブル崩壊以降、低落傾向に歯止めがかからず、今年は34位にとどまり、主要先進国だけでなく、中国(17位)や韓国(26位)にも後れをとっている。」とまで書いているのを見ると、つくづく情けない気持ちになる。

 国士的な思想などこれっぽっちもない私のことだから、日本のGDPやら競争力ランキングが100位になろうと知ったこっちゃないが、将来ある息子たちや孫の生きる世界が窮屈になるのは親、爺婆世代としていたたまれない。

 一体この国の政治家たちや官僚、経営者たちはこのニ、三十年、何をしていたのだろう?

 いや、もちろん、何もしなかったのからこその今の日本なのだろう。

 小池都知事は累積赤字と長期債務を約8200億円もかかえながら、またぞろ都民の税金を惜しみなく4200億~5100億円も浪費してこの新地下鉄計画をごり押ししようとしているらしい。

 この新地下鉄の概算事業費は年間都税収入の約1割にも達する。需要や黒字化は見通しも立たないようだ。結局、すべては将来の都民に背負わせればいい、と考えているらしい。

 いまの都民は親世代、爺婆世代として、こんな連中に政治を委ねていていいのだろうか。子供たちや孫の世代の幸せのために、せめてこんな連中だけは自分たちの目が黒いうちに蹴落として、消えてもらわなくては、申し訳が立たないのではないか。

(了)

saysei at 16:04|PermalinkComments(0)

きょうの新聞の話題から(2022.11.27)

きょうの新聞の話題から(2022.11.27)

●カルテルの音頭とった関電がヌケヌケと免罪に(産経新聞)→中部、中国、九州の電力3社が、独禁法違反で、公取引委から課徴金を命じられた事件で、「3社に対し、関西電力幹部が協議を持ち掛け、それぞれとカルテルを結んだとみられることが26日、分かった。」

 やはり一番のワルは関西電力だったわけだ。

 実行責任者は、企画部門担当の副社長(当時)森本孝前社長。

 関電は令和元年9月、原発が立地する福井県高浜町の元助役から幹部が多額の金品を受領していたことを公表、2年3月に岩根茂樹社長(当時)が退陣し、森本が昇格した。

 カルテルが発覚したのは、3年4月に公取委が関電などを立ち入り検査してからだった。

 つまり、あれだけ世間を騒がせた、原発を続けるための、とんでもない汚職、収賄事件の主役が、その件で公取委の検査が終わるや否や、もう大丈夫と社長に成り上がったばかりで、次の犯罪に取り掛かっていたわけだ。

 関西電力という企業の幹部たちは、腹の底まで、とことん腐り切った連中だとみえる。

 「懲りない面々」とはまさに彼らのことで、市民社会の敵として平然と凶悪犯罪を繰り返す暴力団も顔負けの鉄面皮だ。

 森本は今年6月に特別顧問に退き、現在の森望社長が昇格したが、「カルテル疑惑と社長交代の関係については、榊原定征会長(元経団連会長)が記者会見で『全くない』と否定していた」そうだ。

 榊原定征も大見得を切ったこの嘘で、関電トップの犯罪隠しに加担したわけだ。

 記者たちには、その時期に森本が社長を退いたのは、カルテルがバレて、「リニエンシー制度」を使った自主申告により、免責に成功したものの、犯罪の主役•森本は公取委に対して経営責任を免れず、辞任せざるを得なかった、という裏事情が知られていたのだろう。

 今回ようやく、この事実が表に出てきたわけだ。

 リーニエンシーは、この種の違反について情報提供を促すために導入されたはずだが、五輪談合疑惑でも明らかになったように、いまではすっかり、一番の悪玉企業を無罪放免するために「活用」されている。

 この仕組みは、司法取引と同様に、運用次第で今回の五輪談合や関電の繰り返される悪質極まりない犯罪とその主犯に対し、国や司法が免罪のお墨付きを与えることにもなる、極めて危険な制度だ。

 今回、関西電力は、「調査開始前に最初に違反を申告したため、課徴金を全額免れるとみられる」という。

 こんな馬鹿なことがあって良いのか。

 申告しようがすまいが、実際関電がやったことは、明らかな犯罪だ。

 申告したからと言って課徴金を「全額免れる」のは、誰が考えても変だ。

 公取委は本当に「公正」にこのルールを運用しているのか、国民の観点からは、今度はそちらの公正さに疑念を生じる。

 「課徴金の対象となる大手電力からは『関電だけがぬけぬけと免れるとは』との恨み節も出ている」という。

 当然だろう。たとえ自業自得の犯罪企業とはいえ、法の裁きは公平でなければならない。

 今回の公取委の措置は、著しく法のもとでの公正を欠く。

 数百億と言われる課徴金を支払う電力3社と弁護団は、法のもとでの平等、公正な法の執行を求めて、公取委の関電救済策を告発し、主犯の反社会集団である関電経営陣にも相応の処罰を課す道を拓くべきだ。

 関電は、今回のカルテル事件のほとぼりが冷めやらぬうちに、自分が主犯のこの犯罪で同業他社をだし抜いて、まんまと免責を勝ち取って遁走したことで、大きな「借り」ができた。

 関電に煮湯を飲まされ、鬱憤晴れやらぬ3社の経営陣に対し、関電経営陣は、早々に謝罪して将来また必ず結成を図るに違いないカルテルから排除されないよう、相当な「つぐない」を用意して、修復を図るはずだ。

 誰が考えても、関電の経営者らが、この業界で村八分にされずに生き延びていくためには、そうせざるをえないことくらいはわかる。

 原発収賄汚職で摘発しながら、それで一安心して、検査に入った直後から関電の次の犯罪、今回のカルテル犯罪への速やかな着手を許した公取委は、二度とこんな過ちを冒してはならない。

 関電経営陣は歴代、この種の犯罪の常習犯であり、長年そういうことを懲りずに繰り返して、企業体質として、全くあらたまるはずのない反社会的な性格を維持しつづけていることを、市民の立場に立って厳しく見定め、監視を怠ってはならない。

●防衛費48兆円を要求(読売新聞)→防衛省は、年末までに改定する次期中期防衛力整備計画(2023年度から5年間)の対象経費として、48兆円という膨大な予算を見積もった。

 これは現行計画(29年度から5年間)の約27兆4700億円から29兆円以上の積み増しになる。

 中国•習近平の「台湾への軍事侵攻を辞さず」発言や、尖閣諸島周辺での威圧的挑発、ロシアのウクライナ侵略、さらにはいまや世界の過半を占める非民主主義国の台頭、欧米諸国における内部分断、米国の世界的な求心力の低下などを背景に、国民の危機意識が高まり、従来の米国依存の安全保障に黄信号がともって、自国防衛への声が急速に高まっていることは、誰もがひしひしと感じているだろう。

 こうした状況を、これまで専守防衛、非核三原則、武器輸出の縛り等々の「平和主義」の手枷足枷で国防予算を厳しく抑え込まれ、軍備拡張が果たせなかった、敗戦後77年間我慢し続けた自主防衛論者たちが、千載一遇の好機と、メディアを動員して、一斉に声高に国防を唱え、飛躍的な防衛予算の増額を要求し始めた。

 その先頭に立つのが防衛省で、押さえ込みをはかるべき財務省も、今回ばかりは大震災に続くコロナ対策の名目で、緩み放題緩んだ財政規律など全く盾にならず、与党保守派の有力な政治家たちの後ろ盾を得た防衛省の荒い鼻息に押しまくられているらしい。

 先般の安全保障に関する有識者委員会の提言などみても、こんな異様な雰囲気の中で熱病にでも浮かされたとしか思えない、うわ言めいた近視眼的な富国強兵策、この際便乗して何がなんでもミサイルや武器弾薬を買いまくれ、というアジテーションでしかなかった。

 そんな馬鹿騒ぎで喜ぶのは、今や何の役にも立たない何十年も前に作られた米国の旧式兵器を、日本の無知なお人好し政治家たちを通じて、法外な価格で売り捌けると笑いが止まらない、米国のネオコン•軍産複合体くらいのものだ。

 いまそんな無茶苦茶な予算要求が大真面目になされようとしており、国の安全保障を根幹から考え直す姿勢が、日本の政治家たちにも、防衛省にも有識者にも見られない。

 国の安全保障は、防衛省やいまの保守政治家や知識人のような唯武器論で片がつくはずがない。

 それは総合的な国力をどうするか、という問題であって、単なる軍事オタクに考えれるはずがない。

 行き当たりばったりの軍備拡張に、増税論議だけ先走っている。
 
 これ以上国民の負担率を高めて、国力を致命的に毀損して喜ぶのは誰なのか、この国の政治家や官僚や有識者なるバカにはそんなことさえわからないのか。

●公金垂れ流しの万博は開催ありきでいいのか!(毎日聞)→2025年大阪万博で大阪府市などが出資するパビリオンの建設工事費が、当初の試算から25億円も増え、99億円に上振れするのだそうだ。

 「これまでも費用は二転三転」してきた、この甘い甘い見積り。これでは見積りなんかあってもなくてもいい。

 いくら公金を垂れ流そうが、万博はどうせやるんだから、という、「万博ありき」の本末転倒が幅をきかせているから、公費支出も天井知らずだ。

 府市の連中は、府市民の血税など一旦預かってしまえば、自分たちが好きに浪費できる自分の金だと思っているらしい。

 設計業者に選定された東畑建築事務所は、契約後、建設工事費を74億円と試算したそうだ。

 また、審査の折には、選定委員が予算内(70~80億円)に収まるるか確認したという。

 じゃ、その金額でやってもらおうじゃないか!

 工事業者の公募には2社が応じたが、うち1社は工期が間に合わないと途中辞退したため、残ったゼネコン、竹中工務店が半ば自動的に優先交渉権を得た。これがいけなかったようだ。

 時間切れで、受注社が一社になってしまい、ここに断られたら万博ができなくなる。

 そうなれば本来は強い立場のはずの発注者側が弱い立場になり、受注側の好き放題になるのは誰が考えたって分かる。

 準備不足でこんな状況を招いて業者のゴネドクを許してきたのは、府市の重大な責任だ。

 残った業者竹中工務店が示した費用見積もりは、なんと195億円というべらぼうな金額だった。発注者である府市の足元をみたのだ。

 滑稽なことに、パビリオンの屋根だけで、当初の総工事費の予算見積もりとほぼ同じ74億円だったそうだ。

 一介の民間業者に府市が手玉にとられ、府市民の血税を収奪されたばかりか、屋根だけで府市が考えていた総工費と同じだけかかるような見積りを出すなんて、竹中の連中も、府市のおバカさんぶりをからかっているとしか思えない。

 ここにスッポリ抜けているのは、府市民の立場だ。おバカな府市の担当者のせいで、100億円単位の巨額な工事費を支払わさせられる府市民こそ、いいツラの皮だ。

(了)

 

saysei at 04:39|PermalinkComments(0)

2022年11月26日

きょうの新聞の話題から(2023.11.26)

きょうの新聞の話題から(2022.11.26)

●電通の犯罪•五輪組織委も関与か(全紙)→五輪談合疑惑で、捜査当局と公正取引委員会が、「不正の温床」電通本社に捜索にはいり、全国紙五紙+京都新聞の全てが一面トップで報じるとともに、国民の税金も注ぎ込まれるこの種の国家事業を繰り返す電通の犯罪のからくりを詳細に報じている。

 しかし、やはり新聞各社の追及は極めて甘い。

 読売などは、大々的に紙面を使っているわりには、この談合事件のせいぜい総額5億円程度でしかないテスト大会の不正ばかりを取り上げているが、実はテスト大会を落札した業者が、そのまま本大会の運営を「随意契約で」、つまり何の審査も選定過程もなく、ほぼ自動的に計数百億円にものぼる委託費を受け取るという暗黙のルールないし慣習があり、現にこのカラクリによって、テスト大会を落札した業者が本大会を「随意契約で」受注した、という、事件の核心をなす事実に触れてさえいない。

 しかも肝心の本大会運営費の数百億円が、具体的にどの業者にいくら分配されたのかは、五輪運営を仕切った東京都(小池知事)が民間企業との守秘義務を振り翳して妨げている。

 国家的なスケールでの犯罪に対する捜査であるにもかかわらず、非協力を貫き、最大の犯罪者である電通ほかの容疑者を守ることに汲々としているらしい。

 一つには、捜査当局の見通しでは、この談合は最大の受益者たる受託側企業だけではなく、発注側の組織委員会の大物が関与している可能性が浮かび上がっているらしい、ということが小池の捜査非協力の背景にあるのかも知れない。
 捜査当局が日和らなけば、いずれある程度は明らかになるだろう。

 実際、小池がいくら金の行き先を隠しても、先ほどのニュースを見ていたら、一番多く配分された企名と金額が明らかになっていた。
2社だけで七十何億円だとか言っていた。

こういうことは、割を食った企業がリークしたり、当事者の社員などから、必ず個別に漏れるものだ。

 しかし、読売新聞に限らず、他紙でも、ほんのひと言、テスト大会の落札業者が本大会の運営も受注する仕組みだった、と触れているだけで、そちらのほうがテスト大会の40-50倍に及ぶ数百億の利権で、こんな巨額な本大会運営費を審査も業者選定過程もなく「随意契約で」業者に支払うという、とんでもないカラクリが、犯罪の総合商社•電通を支え、太らせてきたという、事件の核心をまるで避けるかのように、電通にとっては撒き餌程度に過ぎないテスト大会の談合に視野を無理に限定して報じる姿勢が目についた。

 新聞各社も広告料が収入源だから、それを仲介する電通を怒らせると自分の首を絞めることになるからだろう。

  しかし、国民の立場から見れば、こんな茶番をいつまでも許しておいて良いはずがない。

 霞ヶ関の小役人たちは、普段わずか百万、二百万円(億ではない!)の契約でも、零細業者どうし価格競争させて原則は入札制、まして随意契約ともなれば相見積もりをとらせ、微に入り細に入り監査して業者を泣かせるのがつねだ。
 それが犯罪の主役•電通相手だと数百億円の「随意契約」だそうだ。

 電通は撒き餌をまくどころか、海老(テスト大会利権)も鯛(本大会利権)も、どちらも掻っ攫っていく、貪欲な守銭奴鮫にほかならない。

 誰が考え出したのか、電通にとっては小遣いに過ぎないハシタ金のテスト大会入札と組み合わせて、審査も選定もない「随意契約」で本大会運営の委託契約数百億円が自動的に転がり込むという、濡れ手に泡のカラクリ、さすがは日本の国家的スケールでの犯罪の大温床•電通のエリートたちらしい悪賢さだ。

 こんな組織で働く連中が人間的な頽廃に陥らないはずがない。
 新卒女子社員に、パワハラ、セクハラを繰り返してなぶり殺しにした社員など、いまもバリバリの電通マンとして幅をきかせているのではないか。

 この企業は、同じようなパワハラで何度労基局から改善勧告を受けても、組織骨がらみの体質だから、改善などできるはずがない。

 そういう、社内の顔、社外の顔、共に腐り切った組織だ。 

 こんな組織が五輪を夢みて日夜研鑽するアスリートたちを食い物にし、そのスポーツへの純粋な気持ちを撒き散らす糞尿で汚す。

 札幌市民は、冬季五輪などキッパリ拒否すべきだ。このまま誘致すれば、必ずまた同じことが起きる。
 それは個人はもちろん、市民団体でも札幌市でも、とめることはできない。

 IOCの国際的な利権を握るファシストたちが、何世紀もかけて練り上げてきたカラクリと結託した電通なような各国の、政権を後ろ盾としながら独自の資本の原理で動く利権団体が事業と組織の核心に巣食う、構造的な問題だからだ。

 これを排除すれば、大動脈にへばりついた癌を除去するようなもので、五輪を潰す以外に方法はない。

 昨日書いたように、こんなことが繰り返されるうちに、広範な国民大衆レベルでの激しい憤りが、やがて無力感に変わり、それがギリギリまでくれば反転して、電通のような国家権力と結託した資本のやりたい放題に対して、一気にその息の根をとめる鉄鎚を下す超越的な権力への熱狂的な期待感が生まれて来ることは、歴史が証明している。

 すでに私のうちには、その種の抑え難い衝動があることを隠そうとは思わない。

 きっと多くの国民の胸に、そうした強い思いが鬱積していると確信している。

 いま国家権力と結託してわが世の春を謳歌する電通の社員たちよ、その家族たちよ!君たちが新たなファシズムへの道を拓くのだ。そのことだけは忘れるな!

●関電は逃げ足が早かった!~電力3社に課徴金命令へ(朝日新聞、産経新聞、日経新聞)→中国、九州、中部の3電力会社がカルテルを結んで独禁法違反で、数百億円もの課徴金納付を命じられたらしい。

 あれだけいつも嘘八百を並べて、たっぷり儲けている電力会社はその上まだ違法承知のカルテルまで結んでまでして儲けたいらしい。

 ここでも目を引いたのは、五輪談合にも登場した「リーニエンシー」制度の「活用」だ。

 日経新聞によれば、「関係者によると、関電は違反を自主申告して課徴金の減免を受ける『リーニエンシー』制度に基づいて申告し、行政処分を免れたもようだ。」

 こういう悪事には必ず主犯格で登場する関西電力の名がないのは不思議だ、と思ったら、案の定、やってはいたが、ひとり逃げ足が早かっだ、というわけだ(笑)。

それにしても、「リーニエンシー制度」なんてものをこう手軽に便利使いされたら、法も処罰もないと同じだ。

 関電のような腐り切った企業が初めから織り込み済みで免罪符に使ってさらに悪事を重ねる原因になってしまっている。そろそろこんな悪法は廃止すべきだ。

●財務省の犯罪(京都新聞ほか)→
安倍元首相が絡んだ森友学園に関する財務省の決済文書改竄訴訟で、大阪地裁は近畿財務局の元職員赤木俊夫さんの妻雅子さんの訴えを退け、佐川宣寿元国税庁長官への尋問もないまま、佐川の責任を問えずに終わった。

 これには、役人が職務と して行ったこと一切の責任を国家のみに負わせ、何をしようと国家公務員個人を免責する現行法の欠陥があり、法を変えない限り難しいことは分かっていた。

 しかし、権力の下僕と成り果てたもとエリートのみすぼらしい姿をさらし、血税で賠償金を払ってさっさと逃亡した国家の卑劣さと、悪を守る法の矛盾を曝け出したこの裁判は、赤木夫人が粘り強く戦ってきただけの意味があった。彼女はまだまだ控訴して戦い続ける意志を明らかにしている。

(了)


saysei at 20:56|PermalinkComments(0)

2022年11月25日

きょうの新聞の話題から(2022.11.25)

きょうの新聞の話題から(2022.11.25)

●細野豪志は政治家失格(産経新聞)→細野豪志がモンテーニュから学んだことは、旧統一教会の長年に及ぶ悪質な信者とその家族からの、信仰の自由を隠れ蓑にした根こそぎの収奪と、その家庭、生活基盤の破壊から、被害者を救済するための法律を作ることが、私たち国民の「甘美な復讐心を満たすため」の行為だということらしい。

 なにを寝ぼけているのか。

 細野の妄想によれば、私たち日本人は、「復讐物語に酔いやすい」から、安倍元首相を射殺した男をが犠牲者」「英雄」と持ち上げる者も多数出てくるはずであり、その声はツイッターや交流サイトを通じて拡散するに違いないと考え、今回のテロ行為を教唆した策士がいるのかもしれない、などという噴飯物の推理になるらしい。

 こんな妄想を弄ぶ細野に政治家の資格がない、と断言してよいのは、ここに一貫して欠けているのが、このいまにはじまったことではない、深刻な犯罪の最大の被害者である、私たちと同じ、ささやかでも幸せに生きる権利を持つ、ごくふつうの家庭生活を送ってきた人たちを、違法な手段であると同時に、信仰を隠れ蓑にした卑劣な心理的支配によって、家族を分断し、実生活上の地獄へと追いやってきた犯罪者たちをこれ以上一刻たりと、1人たりとも生きながらえさせてはならない、という、国民の命と生活を守るという使命をもつこの国の政治家として、それがなければ政治家ではあり得ない、最低限の義務に対する自覚が、完全に欠如しているからである。

 もし細野に僅かなりとその自覚があれば、ペダンチックに見当違いのモンテーニュなど弄んだり、暗殺犯を市民が英雄視するだの、それを利用しようとする策士がいるかもしれぬ、などとマンガ的な妄想を弄ぶ前に、自分達政治家が長年野放しにしてきた、この凶悪な自称「宗教団体」に、家庭と暮らしの基盤を根こそぎ奪われ、家族を分断され、時に生命まで奪われてきた多くの被害者とその家族たちに、まず思いをいたし、最初に何もなし得なかった自身の政治家としての怠慢、不作為の作意について、心からの謝罪の言葉と反省があって当然ではないか。

 何が「甘美な復讐心」だ! 何がモンテーニュだ!

●「マインドコントロールは定義できない」という嘘(京都新聞)→旧統一教会のような宗教の仮面をかぶった犯罪者集団の信者に対する苛烈な収奪による家族の分断と破壊、その生活基盤の破壊を阻止し、一般信者とその家族を守り、被害者を救済する真に有効な手段の要は、いわゆる「マインドコントロール」下の勧誘や寄附行為等を規制できるかどうかの一点にかかっていることが、次第にはっきりとしてきた。

 それにつれて、これを認めたくない者たちと、これをはっきりと認めて規制をかけなくては立法自体に意味がなくなるとする者たちとの色分けも、国民の前に明瞭になってきた。

 前者は、何がなんでも「マインドコントロール」の規制など認めず、既存の消費者保護関連法でほぼ対応できるような事案に絞った、形式的、事務手続きで処理できる穴だらけのザル法にしてしまいたい、旧統一教会、一円たりと寄附を減らしたくない宗教団体が母胎の公明党、自らも各種宗教団体の組織力や票に支えられ、かつ公明党の協力が欲しい、自称「次の首相候補」ら自民党の「実力者」たち。彼らをその主張かり仮に「旧統一教会組」と呼ぶことにしよう。

 後者は自民党に意図をもって擦り寄る腐れ野党以外の、上記のような旧統一教会と同じ「落とし所」を画策する連中の企図に明確に反対している野党、長い間旧統一教会の収奪や家族破壊の被害者救済に当たってきた経験から、「旧統一教会組」の与党案では全く旧統一教会の被害者救済には役に立たないと主張している弁護団、政府御用達の学者以外の専門家、大多数の国民、という構図だ。後者をその主張から、仮に「反•旧統一教会組」と呼んでも良いだろう。


被害者を救済せよ、という国民のプレッシャーがかかる中、政治勢力では圧倒的に優勢だが、世論の前では部が悪い「旧統一教会組」の前者は、表向きの理屈をあれこれつけて、法の核心をなすべき「マインドコントロール」規制を条文から、すっかり葬り去るために最後の念入りな作業に余念がない。

 「マインドコントロール」規制の排除には、法的に「マインドコントロール」を定義することが困難だ、などという屁理屈が政府、自民党、公明党など上記の「旧統一教会組」の間では、罷り通っているらしい。

 冗談ではない。六法全書でも開いてみなさい。「マインドコントロール」などより、はるかにはるかに曖昧で、抽象的で、心の領域に踏み込むような概念も条文もすぐに見つかるだろう。

 もともと法の言語はそうしたものだからだ。

 もちろん、近代法で処罰対象となる犯罪を構成するのは、人の心の中にあるものではなく、実定的な行為だから、「マインドコントロール」規制もまた実定的な水準の法的言語で規定しなくはならない。

 しかし、だからと言って、「マインドコントロール」が定義できない、などというのは明白な嘘八百であり、いかなる形であれ、「マインドコントロール」規制を徹頭徹尾排除したい旧統一教会一派と、最初からこれと同じ「落とし所」を決めてかかっていた公明党、自民党「実力者」らのペテンにほかならない。

 もちろん、「マインドコントロール」規制の法的言語など、真に中立的な法言語の専門家たちを集めて検討させれば、その領域の職人(技術者)である彼らは、職人としてのプライドにかけても、たちどころに問題のない規制法を作り出すだろう。

 そもそも「旧統一教会組」にそんなことをしようという腹などさらさらないのだから、やってもみないで、できない、できない、などと国民向けにキャンペーンを張っているだけなのだ。

●オウム解散請求の記録すでに廃棄(産経新聞)→この国の公文書保管体制やその理念はいったいどうなってしまっているのだろう?

日本社会の根幹を揺さぶったオウム真理教に対する解散請求の記録が、綺麗さっぱり廃棄されていたらしい。

 地下鉄サリン事件という、過去に例を見ない、一般市民に対する無差別テロが起きたのは、平成7年3月。教団解散命令請求の関連記録を東京地裁が廃棄したのは、18年3月8日だという。

 あれだけの重大事件に関わる記録を廃棄するのにわずか11年間の時をしか、かけなかったのだ。

 本来は、史料的価値が高い記録として保管期限が過ぎても最高裁が「特別保存」として、事実上永久保存とすべきであったことは、誰が考えても分かりそうなものだ。

 それが最高裁の石頭には分からないらしい。よほど最高裁の人士たちの常識(良識)は、国民から遠く隔たったものらしい。

 たしか特別保存とされないこの種の一般の記録の保存期間は、わずか5年くらいではなかっただろうか。

5年で捨てていても、捨てたお気楽なご当人は「規則に従って、適正な事務手続きを踏んで廃棄処分とした」などと、イケシャーシャーと答えるのだろう。

彼らに決定的に欠けているのは、この種の記録は国民共有の歴史的な共同資産だ、という本質的、根幹的な認識とそれを預かる立場にある者の自覚だ。

個人はもとより、帰属する一機関の恣意的な処分などあってはならない。

これでは、「歴史の審判」もなにもあったものではない。

この国では、何をやろうと、証拠となる文書、記録の類を根こそぎ廃棄してしまえば勝ちだ!と、いませっせとそれをやっている政治家たちのような悪人たちが、未来永劫、「歴史の審判」など心配することなく好き放題できるらしい。

●破綻する習近平のコロナ封じ込め(京都新聞)→中国本土で23日新たに確認した新型コロナ感染者が29,745人とほぼ3万人になったらしい。

無理だと言われながら、習近平が頑なに「ゼロコロナ」政策による封じ込めにこだわり続けるのは、こうした強力な権力に物を言わせた、中央集権的な政治体制による政策決定や迅速強力な実践が、欧米民主主義による多数者支配に勝ると、共産党独裁を正当化し、自らの政治体制の優位を世界に、とりわけいまや世界の過半を超える非民主主義国家に対して誇り、欧米的価値観やその政治的主張を相対化する政治的意図があるからにほかならない。

 だから、実際の防疫にしくじっても、簡単に過ちを認めて引っ込めることができず、ますます傷を深くし、国民の犠牲を広げている。

 計約2万箇所でロックダウンが行われ、長引く厳しい行動制限に、国民の我慢は限界に近づいているらしい。中国国内はもとより、世界経済への負の影響は計り知れないだろう。

 この種の純然たる科学や技術の正しい知識に基づいてなされるべき対応に、政治的な権力によるバイアスがかると、必ず大きな弊害が生じて、思想的、学問的、政策的な大混乱が生じることは、旧ソ連のスターリン権力と結びついたルイセンコの獲得形質の遺伝に関するドグマがソビエトの農業生産に与えた負の影響などでも言われてきたことだが、相変わらず社会主義圏では繰り返し発生する不幸な事態であるようだ。

●五輪談合疑惑、なぜいつも電通は告発をら免れてきたのか(京都新聞)→このところまた連日、各紙で五輪談合が報じられ、電通の名が見え隠れしている、(この記事を書いたあとに、捜査の手が電通本社に入った、との報道が飛び込んできた。)

 しかし、私がむしろ不思議なのは、私がこれだけ明明白白だと考え、おそらくは誰もが真の主役は高橋などというたかだか2億だか5億円程度のおこぼれをもらってはしゃいでいた小物ではなく、五輪談合の真の主役は、黙って数百億円に上る五輪の利権を根こそぎ攫っていく電通だ、ということを知っているにもかかわらず、この本命には手がつけられず、いつも曖昧に免責されて、五輪のたびにまた同じことが繰り返されているのは何故か、ということだ。

 私はこの種の法のことなど全く知らなかったので、今日の京都新聞の小さなコラム欄にこんな記事があるのを見て、なるほど、政治が絡むような巨悪の犯罪者にはそんな抜け道があったのか、と腑に落ちるところがあった。

 「独禁法には、違反行為に関与した企業が公取委に自主申告した場合、課徴金の減免を受けたり、刑事告発の対象から外れたりする制度(リーニエンシー)がある」のだそうだ。

 これを活用して、今回、落札企業のひとつで、五輪汚職で当時の経営トップらが贈賄罪で起訴された広告大手旧アサツーディ•ケイ(ADK)側が違反を公取委へ申し出たという。

 こんなテスト大会の契約談合などたかだか総額でも5億円余り。自主的に犯罪を申告しさえすれば刑事告発をまぬがれたり、課徴金さえ減免されるのだから楽勝だ。

 利権の本丸は、もちろん本大会の競技場運営であって、こちらの契約総額は数百億円に上る。

 テスト大会の談合なんてものは子会社、関連会社にやらせて、リーニエンシーとやらを活用して適当に免責してもらい、やすやすと払える減免された課徴金など大手商社親分にとっては問題にもならない。
   
 それよりも驚くべきことは、談合疑惑があり、現にそれを当事者の一部が認めてさえいるテスト大会の落札業者が、そのまま本大会の競技場運営について、随意契約を締結していた、という事実だ。

 これはメチャクチャな話で、テスト大会などという目眩しの業者選定窓口を作って、その金額も小さい目眩しで不正談合をして落札し、その不正が暴かれないうちに、自動的にその不正落札業者が本大会の数百億円もの委託契約を随意で、要は何の制約も、審査も選定過程も抜きで、担当官僚と業者で取り結び、濡れ手に泡の数百億をせしめていたのだ。

 国民の血税を惜しみなく注ぎ込んだ五輪で、こんな簡単なカラクリで、数百億円もの資金を随意契約で使い捨てしたJOC、それをあと押しした政府の罪は計り知れない。

 こんな離れ業を粛々とやってのけられるのが、どこの何という企業グループかは、誰もが知っている。

 色々カモフラージュしているだろうが、しっかり究明して、本丸を刺さなくては、次の五輪もこの構造を温存する限り、必ず五輪汚職はその核心において繰り返される。

 こんな巨悪を排除するには、国のリーダーが殺される覚悟で、政治家はおろか、司法、行政、立法府、警察など権力と深く一体化したアンタッチャブルから完全に独立した強力な権限をもつタスクフォースでも組織して、徹底的にその権力基盤を突き崩さなければ難しいだろう。

 この種の政治家をみな巻き込むような資本の好き放題ぶりが蔓延する社会は末期症状を呈してくる。

 その社会的な危機の瀬戸際には、意図しようがすまいが、柄谷行人のいう、かつて抑圧され圧殺された交換様式が強迫観念のように否応なく甦るだろう。

 「ステート」や資本の原理に対抗して、それは「ネイション」として鉄槌を下す。

 いま人々は、これまで書いてきたような資本の論理のやりたい放題や、それとつるんだ国家の不正な権力行使に、その権力に巣食う政治家や役人どもに、激しい怒りをおぼえずにいられるだろうか。

 しかも、奴らを叩き潰せない自分たちの無力に絶望的な思いを心深くためこんでいないだろうか。

 私は正直に言って、日に日にその思いは強くなりこそすれ、軽くなることはない。

 もう後のない自分に代わって、奴らの命を断ち切る決定的な鉄槌を下すような存在を切望していると感じることもある。

 むろん、それがファシズムへの一筋道だということも知ってはいるが、私は貧しい農家の、姉や妹が金で買われていくのを血涙を流して見送った次男、三男坊たちが、食うために兵隊になり、資本の論理と結託した国家権力に抗って、天皇の名の下に一命を投げ打って決起した心情のほうが、彼らを圧殺した資本と国家の結託体に巣食う「平和主義者」や「民主主義者」などより、よほど好きだし、信用ができると思っている。

●春闘のベアアップは、わずか0.63%(読売新聞)→-10月の全国消費者物価指数(2020🟰100)は生活者にもっとも影響の大きい生鮮食品を除く総合で、前年同月比3.6%と40年ぶりの高い伸びだが、情けないことに、今年の春闘で定昇分も含めて実現したのは2%超の賃上げに過ぎず、このうちベア分は、実施が確認できた組合の平均でわずか0.63%かに過ぎないという。

 これなら連合も労働組合も要らない。

 組合は組合という組織を守っているだけで、労働者とその家族の生活を守る気など、さらさらないのだとしか思えない。

 賃上げには生産性向上が重要な要素だ、などと資本家や企業経営者と同じセリフを呟いて低賃金労働を奨励しているような組合や連合のエライさんたち、どうか労働者の代表づらをするのだけはやめて、さっさと消えてくれ!

●電力会社、好き放題の32%値上げ申請(毎日新聞)→東北電力は24日、国が規制する家庭向け電気料金の値上げを申請したそうだ。その値上げ率たるや32%!

 他の電力会社も続々と便乗値上げ申請するらしい。

 国土全体を棲み分ける寡占企業だから、国さえまるめこめば、好き放題だ。

 今回は最初から、国が血税を惜しみなく注ぎ込んで消費者としての国民から文句が出にくいように、電力会社の儲けを補填してやることを宣言してのことだから、電力各社は安心して大胆な値上げの大合唱ができるわけだ。
   
 ロシアのウクライナ侵略によるエネルギー資源の不足、高騰は、貪欲な日本の電力会社にとって、願ってもない料金値上げの好機だったろう。彼らの神棚にはプーチン像が飾られているに違いない。

●「中間サービス貿易」へのシフト(日経新聞)→リチャード•ボールドウィンというジュネーブ国際高等問題研究所教授が言うのだが、「財の輸出が継続的に増える時代は終わり、デジタル技術が中サービスの拡充を促し、という趣旨だ。

 その中間サービスって何だ、と言ば、いまは「その他サービス」に一括される「例えば経理代行業者、事務アシスタント、オンラインヘルプ担当者、グラフィックデザイナー、校正者、個人秘書、法人向け旅行代理業者、ソフトウェアエンジニア、金融アナリストが提供するサービスなど、あくまでも企業向けのサービス」だそうだ。

 今聞くといかにもせこい話のようだが、のちに「文化の時代」ともてはやされる「文化」も、かつては経済指標に独立した項を与えられず、「雑費」として一括りにされていたことを思えば、そんないかがわしいゴミ溜めの中から、将来の主役が踊り出てくるのかもしれないな、と思えなくもなかった。


⭐︎誤解の余地ないでしょうが、本記事の各項の小見出しは、筆者が新聞記事の内容に触発されて、記事内容を要約的に、あるいは筆者自身の主張を要約して付したもので、引用、要約した新聞記事の見出しではないことを、念のためお断りしておきます。

(了)

saysei at 20:46|PermalinkComments(0)

2022年11月24日

きょうの新聞の話題から(2022.11.24)

きょうの新聞の話題から(2022.11.24)

●「損得」で考える外国人労働問題(産経新聞)→今日も全国紙朝刊5紙プラス京都新聞に目を通したが、気をひく記事はこれだけだった。「正論」の福井義高青山学院大学教授の署名記事だ。

 外国からの移民受け入れの賛否をめぐる議論は感情論になりやすいから、「感情」ではなく「勘定」で考えてはどうだろうか、という人を煙に巻くような前おきだが、中身は経済効果から考えようという至極真っ当な話だ。

 移民の経済学の第一人者ジョージ•ボーハスハーバード大教授によれば、2015年の米国労働者の16%を占める移民のGDPに対する貢献分は12%だそうだ。

 しかし、移民に帰属する分を除くと、貢献分はわずか0.3%。

 さらに、追加で必要な(移民の納税額を引いたネットの)財政負担分が、少なくとも同程度の額に上るので、差し引きした移民の貢献分はゼロになる。

 移民の経済効果が全体としてゼロになるからといってグループごとに与える効果もゼロになるとは限らない。

 実際、米国での移民の経済効果を自国労働者と企業にわけてみると、労働者の取り分は3%減少し、企業の取り分は3%増加する。

 労働者のなかでも、移民労働者との競争で賃金低下圧力にさらされるのは、相対的に低い賃金の職に従事するひとたちだ。

 移民参入によってによって競合する職種の労働者の数が10%増えると、その賃金が少なくとも3%、場合によっては10%程度低下する。

 一方、移民労働者と競合しないエリートは、逆に移民労働の受益者だ。

 移民受け入れは、労働から資本への所得移転に加え、低賃金労働者から高賃金労働者への所得移転を引き起こす。

 米国に限らず、先進国における移民推進とは、大衆からエリートに所得が再分配される、格差拡大政策だ。

 欧米諸国の大衆が移民制限を訴える「極右」政治家を支持するのは、人種差別や排外主義によるものではなく、自らが損をするからで、「感情」ではなく「勘定」の問題だ。

 豊かな社会では、必要ではあっても自国労働者がやりたがらない仕事が増え、移民なしにはやっていけない、という主張をきくことがある。

 しかし、移民が従事するのは、自国労働者がやらない仕事ではなく、今の賃金ではやりたくない仕事なのだ。

 不法移民を一掃した米国のある地域で現実に起こったように、移民が来なければ、自国労働者がやりたくなる水準まで賃金は上昇する。

 また、企業は技術革新で乗り切ろうとする。

 現に、ブルーカラーの賃金上昇と省力化はともにわが国が高度成長期に経験したことだ。

「勘定」の観点から見れば、移民推進で得をするのは途上国からやってくる移民とわが国のエリート。損するのは一般国民だ。

•••ざっとこういうことだが、極めてわかりやすい、説得力のある議論だ。

 具体的な数値は知らなくても、こうなればこうなる、という因果関係はよく分かるし、この論理展開に違和感はない。

 私たちは移民問題を倫理的なバイアスをかけて見がちだ。
  
 とりわけ移民反対派に極右政治党派が目立ち、移民を積極的に受け入れてきたのが、メルケルみたいな東ドイツから移住した筋金入りのリベラルな人権派であってをみると、つい移民の受け入れに抵抗を感じる自分に、不寛容な、排外感情や潜在的な外国人への差別意識があるせいではないか、といった感情的な反応をしてしまいがちだ。

 しかし、私たちの移民受け入れ政策への抵抗感は、「感情」の問題ではなく、「勘定」の問題であり、合理的な理由がある、というこの記事の主張は、私たちを倫理的なバイアスから解放して、合理的な判断を可能にしてくれる。

●マイポータル 国は免責(朝日新聞)→マイナンバーカードで行政サービスが受けられる「マイナポータル」の利用規約に、所管するデジタル庁が「一切責任を負わない」とする条項を設けていることに異論が噴出している。

 あらゆる根幹的な個人情報を集約するこのカードの利用に伴う様々なリスクに対し、「デジタル庁は、本システムの利用及び利用できないことによりシステム利用者又は他の第三者が被った損害について一切の責任を負わないものとします」(23条)と一方的な規約を定めている。

 当然起こり得る情報漏洩等による深刻な損害等にもシステムサービスの提供者である国は何ら責任を負わないというのだ。

 それならこのシステムの利用を義務化すべきではない。

 そのシステムに責任を持つ者がいないようなものを使えと強制する方がおかしい。

 国はこうした抽象的、一般的な一切を免責するかのような規約わを利用者に押しつけるべきではなく、免責条項に関する条件を具体的に示して、その範囲を厳しく限定しなければならない。

 河野太郎デジタル相は、会見で、誤解だの「意図的に悪意を持って、そういう話が流されている」などと述べたらしい。

 これほど河野がアホだったとは知らなかった。 

 誰が考えてもこんな規約の一方的な押し付けと、そんな規約をもつ無責任なシステムの利用を義務づけるなど、許されるはずがない。

●自民都連もトランプ的なメディアの「さくら」手法に倣う(朝日新聞)→野党批判の投稿を匿名で繰り返していたツイッターアカウント「Dappi」が投稿に用いたネット回線の契約者だった会社が、昨年、自民党東京都連から計約494万円の業務を請け負っていたことがわかった。

 自民党都連から金をもらったこの会社の従業員が、野党議員を中傷するツイートを繰り返して、昨年10月に同社に名誉毀損何よ損害賠償を求める訴訟を起こしていた。

 自民党のような政治団体や政治権力が、 特定の団体や個人に金を渡して、ツイッターのようなメディアで一定の影響力を持つ彼らに敵対的な党派や個人をターゲットに中傷、攻撃したり、いわゆるフェイクニュース(虚偽情報)を拡散させる、といった米国のトランプがよく使っている陰湿な謀略的手法を日本でも模倣する奴がでてきたわけだ。

 人々に虚偽情報を広げて特定の個人や団体を傷つけるこうした行為を取り締まるべき、法的な備えや社会的な規制の仕組みを整えることが遅れていて、まだ効果的に抑制することができないために、悪意の攻撃者やその同調者はいまだ野放しで、好きなように他者を傷つけているのが実情だ。

 しかし、今回の自民党都連のような公的な機関が金を渡し、犯罪者のような人物を使って対立する政治家個人を匿名で中傷攻撃させるのは悪質極まりない。

 金を出した自民党都連では、「法令に従い適正に処理し、その収支を毎年法令に従った収支報告書において報告している」という木で鼻を括ったような回答を文書でよこしたそうだ。

 こちらは金を渡して特設ページの制作を委託しただけで、野党議員を狙い撃ちにした中傷を拡散したのは受託者が勝手にやったことで、都連は指示していないし、契約でそうさせたわけでもない、と言いたいのだろう。 

 受託者が誰かを傷つけたり、殺したりしても、都連とは関係がなく、契約については事務的手続きに瑕疵がなければよいのだ、なんか文句あっか?と言いたげだ。

(了)


saysei at 19:44|PermalinkComments(0)
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