2021年12月

2021年12月31日

そば鶴の年越しそば

雪1
 朝起きると庭はうっすら雪化粧でなおも雪が降り続けていました。


雪2
 すぐ消えそうな雪ではあるけれど、しょぼしょぼ雨のように降り続いています。

雪4
 家々の屋根も真っ白。その背後に遠く望めるはずの東山の山並みはすっかり雪で見えなくなっています。

雪6
 いっぱい実をつけたキンカンの木も雪化粧

雪7

 11時に、そば鶴さんの恒例の年越しそばを買いに行きましたが、まだ雪は降り続いていて、傘を持つ手が凍えそうに冷たかった。

 そば鶴さんには時々ではあっても家族や学生さんらと美味しいものを食べにいき、その後も一人でたまに食べさせてもらいに行って、決して途絶えてしまうことがなかったのですが、3年ほど前に薬の副作用なのか何だったのか、いまだに不明だけれど、私がけっこう長期間、完全な味覚障害になってしまってから、さすがにその習慣も途絶えました。
 その後、これも理由不明のまま味覚が回復したころにはコロナ騒ぎが始まって、高齢の私が肺の病もちの上にステロイド療法をつづけていて、重症化三条件を全部備えた身であるために、一切の外食を控え、人との会食はもちろん、親しい友人と会うことも回避してきたので、そば鶴さんにも3年くらいはご無沙汰で、大晦日に年越しそばを買いに表まで行くだけになってしまいました。

 例年は店の前に台を置いて、そこで販売していましたが、きょうは雪のせいでしょうか、大原通に面したマンションの下の店員さんが「工場」と言っていたところで、何人かの店員さんが販売していました。店に行けなくなってからも、いつも顔を見れば挨拶してくれていた店を経営するイケメン兄弟やいつも手伝いに来ていた笑顔の素敵な妹さんの姿も見えないようでした。昼時だからお店の方で頑張っているのでしょう。

 そば鶴さんには、私たち家族皆がお世話になってきたけれど、とりわけありがたかったのは、晩年の私の父が、母が亡くなったあと、よく一人で食べにいってお世話になりました。週一度はわが家で一緒に食事をとっていたけれど、父もあれでけっこう気を遣うたちだったから、自分で好きな時間に好きなところへ行って好きなものを食べるスタイルを好み、ほんとうにもう動くこともできなくなるまで、医者がやめたほうがいい、というようなものも全然気にせずに、碁会所へ行ったついでに街のレストランで一人でたべてくるのが常でした。
 「青山至る所にあり」が彼のモットーで、そういう日常的なことを我慢して細々と長生きしようとは思わない、好きなことをしてポックリ行きゃそれでいい、と言っていたのが、まったく本人の希望どおりになりました。

 しかし、家のすぐ近くにあるそば鶴さんには、ずいぶん世話になったと思います。そば鶴さんなら街の一流料亭と遜色ない逸品をリーゾナブルな値段で提供してくれていたし、家族のことも好みもよくわかっていて、気心が知れているから、父も安心して通うことができたでしょう。
 一度父がちょっとした事故のあと記憶や振る舞いに少々心配な徴候が出たころ、団地の自分の帰るべき家がわからなくなって近所で途方にくれていたらしいのを、そば鶴さん(の奥さんがご存命だったら奥さん、そうでなければ娘さんだったでしょう)がみかけて送り届けてくれたことがありました。
 その後父の状態は回復して、その後ボケたりすることはなかったけれど、あのときそば鶴さんに出会わなかったら、と思うと、本当にありがたかった。

 先代のご主人は奥さんによれば少々気難しいところのある職人気質の腕のいい料理人で、あまり店が混んで忙しいと機嫌が悪くて困る、と奥さんが笑いながら言っておられたことがありました。でも近くのイタリアンの店に一人でほっこりした感じで食べにきておられるのに出会ったときなどは、私たちを見知っているようすで挨拶してくださったのですが、その表情は料理人の時の厳しい表情とはまったくちがった、一人で誰にもじゃまされずに近所の知り合いの店にそれはそれで美味しいイタリアンを食べに来てほっこりしている、穏やかな親父さんの印象でした。
 奥さんはこの名人肌の調理人さんとは対照的に、とても愛想のよい、だけど決してなじみだからといってベタベタせず、はじめての客にも居心地の悪い印象を決して与えない、受け身の温かい印象の、店で接客するのに向いたほんとうに働き者という感じの人でした。

 近隣に知られたイケメン兄弟の弟さんのほうが、多分お父さんの気質と腕を継承して、いつも一工夫あるすばらしく美味しい料理を創りだしてくれる、シャイで無口な印象の職人気質の料理人、お兄さんのほうは多分お母さんに似て、社交的でいつもなじみの客と陽気な会話を交わしながらカウンターの向こうで立ち働いている印象があります。そして二人を店の客側の空間で助け支えてきたのが、いつも明るい看板娘の妹さんで、私たちは彼女が幼いころに、客の座るテーブルの間をちょこちょこ動きまわって、料理や食器を運ぶのを手伝って、客たちに可愛がられている姿をよくみかけたものです。

 長じて娘さんになってからは、店の段取りはもちろん、客のことも知り尽くした接客のプロとして、
馴染み客の好みなどはむろんのこと、たった一度パートナーがつれてきただけの友人の好みまでちゃんと記憶していて当人を驚かせるようなこともしばしばだったし、幼い孫を連れて行けば熱々の玉子丼(そば鶴の玉子丼は格別おいしい)など注文すれば、ちゃんと最初からとりわける小皿やスプーンを同時に出してくれたり、子供が退屈しないように、お茶や先に出せる料理を出してくれるなど、「気が利く人」とか「よく気がつく人」という言葉はこの人のためにあるようなものだな、といつも感心するような仕事ぶりで店を支えてきたと思います。

 また、間接的に聴いたところでは、調理人の弟さんは、いつか地域の子供たちにほんとうに美味しい給食をつくって食べさせてやるのが夢だ、と言っていたそうです。なにしろ給食と言えばまずいもの、というのが「常識」になっていましたからね(笑)。でも、全国に名高い老舗の料理屋のシェフでもつとまりそうだと思えるほどの腕をもつ青年が、そんなまずい給食ばかり食べて、給食とは不味いもの、と思い込んでいる子供たちに、心から美味しいと思えるような給食をつくってやりたい、それが夢だというのですね。
 これを聞いたときは、うちのパートナーも私もほとんど泣きそうになったものです。

 こういう店がずっと地域の中にありつづけて、さまざまな家族や一人暮らしの老人に本当に美味しい昼餉、夕餉を提供しつづけてくれることを心から願わずにはいられません。


きょうの夕餉

小粋菜と鴨鍋
 小粋菜と鴨鍋。お蕎麦も入れて、年越し越し蕎麦に。そば鶴さんのは天ぷらそばにしたので立派なエビがついていて、これはコレステロールのせいで私は食べられないから、と孫のおうちのほうへ(笑)

手羽先のから揚げ、甘辛
 手羽先のから揚げ、甘辛

ホウレンソウと菊菜のジャコおろしポン酢
 ホウレンソウと菊菜のジャコおろしポン酢

サラダ
 サラダ。

 以上でした。
 
 昨日からこの前の左胸の痛みが再発して、きょうは咳をしても痛く、どうやらこの感触はやっぱり気胸が再発している感じ。大晦日でもあり、ドレーンを入れて空気を抜くのでないかぎり、処置のしようもないので、なるべくおとなしくして、肺に空いた小さな穴がふさがって、胸腔に漏れた空気が吸収されて消えるのを待つしかなさそうです。穴がふさがらなければ病院で手術だか組織を焼いてくっつけるのか、処置してもらうしかないのでしょう。気胸は若い頃からの持病のようなものだから、いつ起きても仕方がないけれど、間質性肺炎の組織の繊維化も含めて、かなり肺の組織全体が老朽化して、あちこちで破れやすくなっていることはたしかなようです。
 わが家のテラスも素材が木なので、雨と天日で朽ちてボロボロになり、一部は実際に落ちてしまって、いつ崩落してもおかしくない状態ですが、まぁ私の肺もイメージとしてはあんなふうなのでしょう。もともと肺が強くない上に若いときはかなりタバコで痛めつけた肺だから、仕方ないですね、ハイ(笑)

 きょう、スェーデンのゼミOGからのクリスマス&新年のグリーティングカードと近況を知らせてくれるたよりが届きました。前に来日して初めて直接会ったときはまだ幼児と言って良かったお嬢さんが、もうすっかり元気そうな少女の姿をした写真も。スウェーデン語と日本語のバイリンガル、英語もというトリリンガルですね。私が以前に送った何冊かの絵本の中では、「はいいろひめさま数え歌」が彼女のお気に入りだそうです。日本語だけど、もう彼女は読めるようですね。

 ほんとうに可愛らしいお子さんで、この前会った時カフェにいたら、周囲の関係のないおばさんたちがずっと彼女を見て、可愛い!と噂していたほどで、去年送ってくれた動画で、ほんとに愛らしい少女に育っている姿を見せてもらいましたが、今回の写真は顔が小さくしか撮れて無くてほとんど表情もわからないけど、とても生き生きした活発そうな姿が映っていました。彼女が誕生して間もなく屋外でとった写真では、両親と少し離れた敷物の端にほとんど「ころがされている」小熊さん,という感じの、たしか熊か何かのぬいぐるみみたいなのにコッポリとくるまれて眠っている赤ちゃんで、最初その写真をみても、いったいどこに赤ちゃんがいるのかわからないくらいでした。あの赤ちゃんがもうこんな逞しそうな少女に成長したかと思うと、感無量というのか、ほんとに早いものだなぁと思います。

 私もグリーティングカードを送ったのですが、郵便局で、年内には届きませんからね、とつれなく言われていました。きっとまだ届いていないでしょうね。先日近くの左京郵便局へ行ったら、土日は一切配達をしないことにした、というような業務内容の変更のお知らせ、みたいなものが掲示してありました。市役所にしろ郵便局にしろ、とことん職員を楽にするための「改革」に徹する所存のようで、利用者市民のための公的サービスは後退・縮小の一途のようです。







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2021年12月30日

茜雲

ぽっかりアカネ雲
 それほど遅い時刻に家を出たと思っていなかったので、ちょっと上賀茂の戸田農園さんの野菜自動販売機でチチャ(サニーレタス)を買い、あと「なかむら」で頼まれたバナナ、キウイ、エノキダケを買ってから賀茂川の川べりの方へ出ると、もう日が落ちて空には淡い茜色に染まった雲が浮かんで夕暮れの気配だったので、ちょっと驚きました。こちらの動作(体内時計)がトロくなっているので、時間のたつのがものすごく速く感じられるようです。この写真は午後4時49分。

夕焼け2
 沿道の葉の落ちた高い樹々のシルエットが、淡く美しい青から茜色へグラデーションを成している空の背景に浮かび上がって、とても綺麗でした。

アカネ雲
 もう日はすっかり西山の黒い影の向こうに沈んでいます。

きょう16時の比叡
 これは家を出たとき松ヶ崎橋でとった、今日の比叡。空は真っ青で、とても綺麗でした。でも比叡をみると、これはもう夕陽が当たっているんですね。写真のデータを見ると午後4時ちょうどでした。お天気は上々でしたが、きょうも寒かった。スマホの気象情報では、左京区最低気温2度最高気温8度となっていました。昨日はー1℃~9℃でしたから、これでも最低気温は昨日より3度も高かったのですね。

キンカン煮
 きょうパートナーが庭のキンカンの実をいくつかもいできて煮たてていた、キンカンの甘煮。そのまま味見で一個口に入れて食べてみると、これがすばらしく美味しい。キンカンの実自体がとても甘くて、ここちよい甘酸っぱさが口の中一杯にひろがります。そのままおやつにいただけるけれど、ケーキに入れたり、活用するようです。まだまだ樹にたくさん実がついているので、楽しみです。今年は実の数も多いし、粒の大きな立派なのが多いので、わが家のキンカンはここ数十年にない豊作と言っていいでしょう。


きょうの夕餉

聖護院大根と里芋のフロフキ柚子味噌添え
 里芋と聖護院大根のフロフキ、柚子味噌添え

★とんかつとサツマイモから揚げ
 トンカツとサツマイモのから揚げ

★ホウレンソウ、シイタケ、エノキの煮びたし
 ホウレンソウ、シイタケ、エノキの煮びたし

★牛筋大根
 牛筋大根(のこり)

★マカロニグラタン
 マカロニサラダ

★もずく酢
 モズクきゅうり酢

★サラダ
 サラダ

★五目黒豆納豆
 五目黒豆納豆

★漬物
 漬物

 以上でした。













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2021年12月29日

「ストロベリーナイト(インビジブル・レイン)」再見

きょうの比叡
 きょうもどんより雲に覆われた冬空で、寒い日でした。左京区午前9時半の気温は4℃。きょうの最低気温はマイナス1℃、最高気温は9℃だそうです。

 それでも上賀茂神社まで自転車での往復は、腰痛対策のため頑張ってきょうも走ってきました。ついでにパートナーご注文のホウレンソウと小粋菜を野菜の自動販売機で、それぞれ100円で買ってきました。

 きょうは哲学小僧を少し。やっぱり途中までの感想文を一度本人に送ると、なんだか一仕事終えた感じで、先を急いで何がなんでも早く片付けよう、という気分が褪せてしまったのがわかります。フーコーもだんだん眠くなってきた(笑)。
  
 それでプライムビデオでただで見られて面白い映画はないか、と物色していましたが、なかなか見つからず、ふっと思いついて竹内結子の「ストロベリー・ナイト」を検索したら、プライム会員は無料で見られることがわかったので、これをみていました。しかし私が想像していた作品とは違って、「インビジブル・レイン」篇でした。たぶんこちらはシリーズの2作目ではなかったかな・・・*

  * 後註:どうやら私が最初に見たのはテレビドラマだったようです。やはり竹内結子さん主演で、映像作品としてはテレビドラマのほうが先で、そのあとこの劇場用映画「インビジブル・レイン」を「スト炉べり・ナイト」のドラマのシリーズタイトルそのままで公開したようですね。捕らえた人間をひどく残虐なやり方で殺す現場をショう仕立てで金持ちの変態たちを集めて見せては死体を処理していたというエグイ事件が私の記憶に鮮烈に残っているのですが、あれがテレビドラマのほうだったんでしょうかね。テレビで放映するのはかなりきつい内容だったと思うけれど・・・ちょっと昔のことが、もう記憶に定かでないので間違いがあればご容赦を。

 これも第一作と同様、前にみたことのある映画でしたが、私はすぐ忘れてしまうたちなので、2度目でも面白かった。いい役者が沢山出ているし、原作も面白かったおぼえがあり、それを脚本も損ねていないし、演出も悪くない。そしてなにより竹内結子が魅力的で(笑)。

 またこの作品で姫川玲子の心の闇を一発で見抜いて、彼女と束の間心を通わせることになるヤクザの若頭牧田役の大沢たかおも、姫川玲子が惹かれるだけあって、中年男の魅力を備えていました。いまは中年の魅力をいろんなドラマで醸し出している西島秀俊が、まだ青くて、大沢たかおに、姫川はお前じゃ無理だよ、と言われ、いわば心理的な片思いの振られ役というのも珍しいかも。

 映画が終わったあと夜の街にポツポツとそれこそ「インビジブル・レイン」が降ってきて次第に本降りになっていく映像とそれに合ったテーマ曲がかかる、あの場面と音楽がとても好き。

 こんなのを見ているようでは、フーコーはなかなか読めない(笑)

きょうの夕餉

★鶏の胸肉の酒蒸し
 鶏の胸肉の酒蒸し

★シイタケの肉詰め
 シイタケの肉詰め

★セロリの葉のジャコ山椒いため
 セロリの葉のジャコ山椒いため

★ブリの塩焼き柚子おろし添え
 ブリの塩焼き、柚子おろし添え

★牛筋大根人参蒟蒻の煮物
 牛筋と大根、人参、蒟蒻の煮物

★もやしとホウレンソウのおひたし
 もやしとホウレンソウのおひたし

★大根葉とごぼうのゴママヨネーズ和え
 大根葉と牛蒡のゴママヨネーズ和え

★茄子の辛子漬け
 茄子の辛子漬け

★すぐき
 すぐき

★サラダ
 サラダ。

 以上でした。












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2021年12月28日

印象深い内外のドラマ

 一昨日の日曜は、NHKの大河ドラマ「青天を衝け!」の最終回でした。私も渋沢栄一という実業家について、その名はよく知っていても、どんな人物だったのかはほとんど何も知らなかったので、このドラマで血気にはやる尊王攘夷の志士気取りだったころのことや、徳川慶喜に仕えたこと、そして維新後の文字通り八面六臂の活躍等々、とても興味深く見て、結局最初から最後までほとんど全部見たことになったと思います。

 主人公の栄一を演じた吉沢亮、夫人ちよを演じた橋本愛、あるいは脇役ながら非常に存在感のあった徳川昭武を演じた板垣李光人や得な役ではあったけれど爽やかな印象で殺陣が冴えた土方歳三役の町田啓太などが大変評判が高いようだし、私も生き生きとした彼らの鮮新な演技にはとても好感が持てたので、その熱演に対する高い評価にまったく異論はないけれど、やっぱりこの歳になると、みごとに慶喜に成り切った草薙剛や平岡円四郎の堤真一、その妻を演じた木村佳乃らの味わい深い脇役ぶりが、たまらなく魅力でした。

 小林薫が演技派の代表格なのは昔からで、彼が若い時、あれは太閤記だったか前田利家の話だったか忘れたけれど、秀吉が既婚の妹に無理やり夫と別れさせて家康のもとへ政略的に嫁がせたとき、それを迎える家康の側は温かく彼女を迎えるという雰囲気を家康と息子たちがいる場面で見せていたとき、たしか若き日の秀忠を演じて、ちょい役なのにすごく印象に残って、パートナーがあの俳優はきっとこれからいろんな映画やドラマに出てくるよ、と「予言」していましたが、実際そのとおりになった役者で、あの頃からいまにいたるまで、押しも押されぬ演技派の代表格でしょうから、渋沢市郎右衛門役についていまさら触れるまでもないでしょう。

 ディーン・フジオカの五代友厚も、どちらかと言えば脇役の脇役くらいの出番だったけれど、とても良かった。私が若手の中で数えていたら、パートナーから、彼ももうベテランの中年役者の部類よ、と言われました。彼も草薙剛も堤真一もこの頃の若いタレントは、なんて思っていたら、いつの間にか中年の押しも押されぬベテラン役者になっていた。たしかにそうなのでしょうね。

 さて次の大河ドラマは北条義時が主人公の「鎌倉殿の13人」だそうで、この主役を演じるのが、先ごろドラマ「日本沈没-希望の人ー」でいい演技を見せた、いま人気No.1男優の小栗旬だそうです。おまけに新垣結衣、菅田将暉と人気若手に大泉洋を配して、これを三谷幸喜がつくりあげるというのだから、面白くないはずがないだろう、と期待させてくれます。ここらはNHKの強みですね。

 ドラマ「日本沈没-希望の人ー」は小松左京の原作を、巧みに現代に置き換えて、さいごにパンデミックまで押し込んだのには、そこまでやるかね、と思ったけれど、小栗旬も杏も素晴らしい熱演でした。

 日本のドラマではあと、先ごろやはり最終回だった「アバランチ」を結局全部見てしまいました。仕置き人を現代風に仕立て上げて、なかなか面白かった。綾野剛も木村佳乃もよかったけれど、一番凄みがあってよかったのは、敵役である大山官房長官役の渡部篤郎でした。本当にああいうのが居そうで、不気味でしたね。先日の終わり方をみると、どうやらシーズン2がありそうですから、楽しみです。今度は、和泉あかり(綾野剛が失意の時期に身を寄せる町工場の社長の娘)を演じた、北香那という私がそれまで知らなかった素敵な女優さんが、もっと正面に出てくるような役をつけてほしい(笑)。

 あと「相棒」も新しいシリーズが始まってから大体は見ていましたが、最初、いまどきの世相に媚びるようにヴァーチャル・リアリティなんかをやたら登場させて、なにか見当違いのことをやっているな、と思っていましたが、最近の何回かを見ていたら、また元の「相棒」らしいシチュエーション・セッティングに戻したようで、そこは一安心しました。しかし、後で書くイギリスやフランスのこの種の捜査ものドラマに比して、「相棒」はいかにも脚本が数段劣り、演出にもスピード感が乏しくて、見ていてほんとうにカッタルイ印象がぬぐえません。

 いつも、なぜこんなにスピード感が違うんだろうか、どこがどう違うんだろうか、と考えるのですが、どうも的確に言葉にすることが、いまだにできません。ドラマを作っている人も、後で書くようなイギリスやフランスのドラマを見れば、自分たちが作っているものとの差が歴然とわかるはずなのに、職業的なドラマ制作者は忙しくて、私たちのように他国の捜査もののドラマなどは、かえって見ないのでしょうかね。だからいつまでたっても、自分たちのつくるドラマが、いかにカッタルイ印象を与えているか気が付かないのかもしれません。

さて、海外のドラマで、このところずっと見ているのは、イギリスの、「刑事モース」(もよかったけど)の続編というのか姉妹編というのか、オックスフォード事件簿の第二幕というのか、モースの相棒だったルイスを主役にしたドラマをいま連続でみせていますが、これがまた面白い。脚本も毎回すごくうまいし、演出もスピーディーで、役者もいい。特に今度のルイスの若い相棒が、ケンブリッジ大学を卒業したインテリで、シェイクスピアのセリフをつぶやいたり、ジョン・ダンの詩の一節をつぶやいてみたり、現場たたきあげ派のルイスと好対照で、ちょうど若き日のモース(オックスフォード出の秀才)と彼をかわいがる上司の警部との関係と逆になっているのも面白い。いまのオックスフォードの風土、雰囲気を正確に伝えてくれるのも嬉しい。

 もうひとつ、私がそれ以上に楽しみにしているのが、「バルタザール」という犯罪で殺された遺体の検死・解剖をやる型破りの法医学者を主人公にしたフランスの捜査ものドラマ。バルタザールは主人公の男性法医学者(死体解剖医と言ったほうが実体に合うような)の名前で、彼が捜査官である女性刑事エレーヌに協力して事件を解決していく、土曜、日曜で前篇・後篇を放映するので、わが家では録画しておいてあとでちゃんと一度で完結するように見ていますが、これがけっこう話の内容はきついところがあって、子供には見せたくない親も多いんじゃないか、というドラマですが、大人のドラマとして非常に面白くできています。第一主人公のバルタザールがいかにもフランスの男性らしい、ちょっと色気のある女性と見るやほうっておいては失礼と考えるような色男で、たしかにご本人も男性としてそれだけの肉体も頭脳の切れもユーモアのセンスもあって、危ない魅力をもち、ちょっとむんむんするような男くささを発散しているような男ですから、亭主、子持ちだけど、その亭主とはうまくいっていないエレーヌとバルタザールは当然仕事上だけではない微妙な男女の磁力も双方に働いているし、バルタザールは別に美しい彼女と寝ているし、おまけにもっと重要なことは、バルタザールのかつての恋人は、若い女性の腕を切り取ってコレクションしているような猟奇的な殺人鬼にして、冷徹で証拠を残さず、決して尻尾をつかませない犯人に殺されていて、自宅ではいつもバルタザールの前に幽霊として生きていた時のチャーミングな姿のまま現れては彼に寄り添い、彼に語り掛け、言葉を交わすのです。

 バルタザールは日々起きる犯罪捜査にエレーヌと共に当たると同時に、並行して恋人を殺された過去の犯罪の手がかりを求め、その犯人をみつけようとしているわけで、こちらが連続ドラマとしての経糸をつくっています。まるでその過去の恋人の事件に関連することが出てこないで、単発の犯罪を解決して終わる回も少なくはないのですが、ときどきその犯人の手がかりにつながるようなサインが登場したり、ごく最近の回では、あわや犯人を特定してその隠れ家へ踏み込んだか、というところまで行ったのですが、実はそれは真犯人が巧みにつくりあげた罠であり、捜査を攪乱するために別人へと誘導する仕掛けにバルタザールたち追う者がひっかかってしまったので、バルタザールは苛立ち、絶望の淵に立たされる、といった塩梅です。

 こうして全然別(少なくともそうみえる)の事件が並行して進み、主人公たちが心理的に振り回され、話の奥行きが深く、一回ごとの事件の謎も、とてもよくできていて、堪能させられます。このドラマも主人公の職業柄、死体はもちろん毎回出て来るし、色恋ざたあり、刑事とバルタザールの間の親密感と反発との微妙な関係あり、一回ごとの犯罪者とのやりとりあり、過去の恋人の事件にからむ恋人の幽霊とのやりとりや現実のわずかな手がかりを追うバルタザールらの懸命の追及あり、と非常にバラエティに富んだ奥行のある物語が展開されていくのですが、これが非常にテンポよく、全然糸がこんがらかりもしないし、スピード感があって、見ていて飽きないのです。

  もう一つ少し前までやっていた、「アート・オブ・クライム 美術犯罪捜査班」という美術の専門的訓練を受けた女子学生(だったと思う)の協力で刑事が美術犯罪の捜査を進めていく、ちょっとかわった特殊な分野の捜査ものドラマがありました。これもフランスのテレビドラマで、たいていは美術館を舞台とする美術犯罪で、いかにもフランスらしいドラマでした。これはバルタザールのようなドラマとしてのシャープさ、事件として流血や殺人といったきつさは無いけれど、美術の専門知識が捜査の有力な武器になる知的な内容がなかなか風変りで面白かった。いったん途切れていたけれど、またシーズン2というのでしょうか、続編が再開されるようで楽しみにしています。

 「ヴェラ~信念の女警部」という、中年のベテラン女性警部が殺人事件を捜査して犯人を追いつめる、これはスコットランド近辺を舞台とする刑事ものでしたが、私の好きな土地の風景がふんだんに登場したし、この主人公のキャラがとても自然で、好きなドラマのひとつでした。もちろん脚本もしっかりしていて、展開もスピーディーでした。彼女の相棒である部下は家庭を大事にしたい、大人しい青年で、やり手の彼女はもどかしくて仕方がない、その辺の人間関係の描き方もとても面白かった。日本のドラマでは、捜査ものとなると事件ばかり追っかけていて、そういう人間関係の描き方が粗っぽくて、パターン化されたものが多く、味がないケースが多いような気がします。

 まだ忘れているかもしれないけれど、近頃見て印象深いドラマはそんなところです。
 

 

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きょうも寒い一日でした

きょうの比叡 松ヶ崎橋より14:06
 今日の比叡。松ヶ崎橋より14::06

南西の空
  同じ時刻、反対側の空

松ヶ崎附近より
 松ヶ崎附近から 15:10

松ヶ崎附近から1410
 同じく、クローズアップ

 午前中は、居間、台所、寝室を掃除機だけかけて軽く掃除。その後生協への買い物につきあっていきました。自転車置き場に隙間がないほどたくさんの自転車が止まり、店内もごったがえしています。それでも昼前のふだんならどちらかといえば空いている時間帯なんだそうです。

 生協を出た横断歩道の手前で人だかりがしていて、どうやら誰か倒れて横たわっているらしい。生協の職員らしい人が頭の下に何か敷くものを持ってくるとか、寒いから上にかける布ようのものを持ってくるとか言ってた、とパートナー。じきに東のほうからサイレンの音がして救急車が来るのが見えました。寒い時だから、脳溢血とか心臓の異常とか、いろいろ置きやすいのでしょう。

 こちらも他人ごとではありません。腰痛のパートナーが重いものを持てないからと思ってついてきているけれど、こちらも自転車はいいのに、歩くと足腰が定まらず、ふらついていて、ちっとも確かではないので、我ながらあぶなっかしい老夫婦です。しかし今日も痛み止めの注射に外科病院へ行ったパートナーは、なんとか痛みもおさまっているので、毎週注射で痛みをとめていたのを3週間に1度という間隔になったようです。少しでも回復の方向に向かうなら御の字です。

 きょうの上賀茂野菜は戸田農園さんの自動販売機で買った、完熟のトマト5個(300円也)と、どの販売機にも今日は珍しく胡瓜が一本もなかったので、「なかむら」の上賀茂野菜コーナーで商品用のまっすぐで太く長い胡瓜を買いました。販売機のように2本、3本はいって100円とはいかず、2本で200円でした。それと、先日大きくて肉厚ですばらしく美味しそうな椎茸がビニール袋に沢山入って300円という特売セールをやっていたので買ったのですが、きょうはそれより劣るスケールの京都産シイタケだけど、まぁまぁ美味しそうだったので、450円もしたけど、食べたくて買ってきました。長男は幼いころ、「椎茸は子供の敵」とか言って食べなかったし、たしか食の好みでは長男によく似ている孫もなぜかシイタケが苦手なようだけど、私はシイタケは大好き。一番好きなのは生のを火にかけて焼いて、醤油をつけて食べる、味も香りもストレートに味わえる食べ方ですが、先日のようなバター焼きでもOK。料理に使えば色んな料理の味が格段に美味しくなるし、貴重な食材だと思います。

 きょうは少し疲れて哲学小僧で頭を働かせるのが少々しんどかったので、本も読まずに、もっぱら図書館で借りたフーコーのコピーに精出していました。図書館の本だともちろん汚せないし、気を遣うので、ちゃんと読みたい本はやっぱり自分で買うか、手の届かない(高価すぎて)本は借りたのを必要な限りでコピーさせてもらうしかありません。

 しかし、このところ継続して借りては返し、借りては返しを繰り返して、きょうの分で、講義集成(全13巻)の既刊11冊はすべて、自分で前に買っていた何冊かも含めて、自分で赤線入れながらでも読める環境が整って、背中の本棚にそれらの本とコピーを入れた大きめの茶封筒がずらっと並んでいます。

 読まなきゃ何にもならないけど(笑)、やはり講義は読みやすいところがあるので、主著を半世紀ほうっておいた(笑)ほどには敬遠しなくてすみそうです。もちろんフーコーがコレージュ・ド・フランスでの講義のためにしっかり準備して講じたものだから、易しいなんて言えないでしょうが、「きょうは体調が悪くて、ろくな講義にならないと思うので、申し訳ないが、早めに切り上げさせてください」などと聴講者に前置きしてから始めたりしている生のフーコーの声が聞こえるような講義録なので、臨場感があって、凝りに凝った言い回しの、緻密な書き物に比べれば親近感があることは確かです。

 とりあえずは、いまとりかかっている従弟の子の本の第7、8章のきちんと感想が書けるように読んでしまってからだけど、フーコーのこの講義集成を、年代順に最初から通して通読したら面白いだろうな、と思っています。まぁ、そこまで私の寿命がもてば、の話ですが(笑)。

きょうの夕餉

クリームパスタ
 ポルチーニ、賀茂椎茸、マッシュルム、チキン、ブロッコリ入りのクリームパスタ。

ミートボール入りボルシチ
 ミートボール入りボルシチ。上賀茂で買って来たビーツが甘く美味しい。

生野菜とバーニャカウダ
 生野菜のバーニャカウダ添え。

サラダ
 サラダ。
 あとは、キャラウェイシード入りオリーブオイルとパン、赤ワインです。

 以上でした。













saysei at 18:39|PermalinkComments(0)
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