2008年01月

2008年01月05日

「思考の整理学」(外山滋比古)

しつこいウィルスがまだ胃のあたりに鉛のように巣食っているらしい。朝食後、また気分が悪くなってしばらく横になる。これでは仕事にならないから、寝そべって、DVDプレヤーのHDにたまったビデオをDVDに移す単純作業をしながら、手近にあった読みやすそうな文庫本を読む。

 外山滋比古『思考の整理学』・・・かなり以前に出たとき目を通していたはずだけれど、なにも記憶に残ってなかった。最近になってなぜか本屋でよく平積みになっていたりするので、おや、と思って買っておいたものだ。
 
 今回は集中して読める時間があったし、硬い本を読む気になれる状態じゃなかったので、ビデオ整理のあいだに最初から最後まで読みきれた。これが結構面白くて、ふだんから学生さんのやることを見ていて、色々こうなんだけどなぁとか思っていたことを、非常に簡潔にうまくまとめてある。

 何十年も前の本とは思えないほど、いまの学生さんのものの考え方や姿勢がここに書いてある。もちろんそれはもう私たちの学生時代から兆していた症状なのだろうけれど。

 ある箇所では、いまの学生さんは答えばかり先に見つけようとする、とあって、それはだいたい答えばかり与えるような教育をしてきて、問題をつくった経験がないからなんだ、というようなことが書いてある。

 そういうのを読むと、そうだよなぁ、と色々思い当たることがあって、少しは自分のあたまで考えてみろよ、何が好きなんかくらい言えるだろ?疑問くらい出せよ、何の疑問もないわけ?と「おみあい」しているゼミ生の前で苛立ってキレかかっている自分の姿なんかが浮かんでくる。(このあとほんとにキレちゃって、もちろんその学年のゼミ生とはよけいにうまくいかなくなるのだけれど・・・この6年間で唯一最大の危機的瞬間・・・笑)

 また、もう定期試験の問題は締め切りすぎて出してしまったけれど、ほんとうは学生さん自身に「問題を作らせるような問題」を出したらよかたかもなぁ、などと思って、いろいろどんな問題づくり問題が考えられるか空想してみたり・・・結構楽しめる本だった。

 

at 22:43|Permalink
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