2008年03月14日

「バンテージ・ポイント」(ピート・トラヴィス)

 最初から最後まで目が離せない展開で、エンターテインメントとしてはサイコーといった感じの映画だった。

 監督はテレビ界出身の人だそうだが、なるほど、すぐれたテレビドラマのノリで、この映画を見て何か考えるとか、もう一度見たいとか、そうなる気遣いはない。

 ただただ見ているその一瞬その一瞬のスリルの連続を楽しんで、終わればすっきりした気分で映画館を出られること請け合い。

 でも日本ではこういう映画は作れないだろうなぁ、と思わずにはいられない。第一に俳優がいい。デニス・クエイドは渋いけれどいい役者だし、フォレスト・ウィッテカーもウィリアム・ハートも演劇経由の本当にうまい演技派の役者。シガニー・ウィーヴァーも大好きな女優だ。

 テイラー役、ハビエル役の俳優もいい面構えだし、スアレス役もベロニカ役もそれぞれはまり役。

 こういう渋い主役から超演技派の脇役をずらっとそろえてこんなエンターテインメントだけに徹した映画がとれるのはやっぱりハリウッドならではか。

 カーチェイスも結構迫力があった。

 好悪の印象が分かれるのは複数の目撃者の視点を生かして、同じシーンを繰り返しテープを巻き戻すように見せる手法だろう。タイトルのVantage Pointもそこから来ていて、この映画の面白さがそこにあることも確かだけれど、そして「メメント」のような映画なら許せるけれど、エンターテインメント映画としては、少し「方法」が意識されすぎて、くどい、しつこい、もっと素直に楽しませてくれよ、と感じる人もあるだろう。私自身は面白くて楽しめたけれど。 

at 23:59│
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