2005年03月25日

金沢21世紀美術館

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 金沢21世紀美術館を訪れて驚いたのは、常設展示が見られなかったことだ。開館記念展は終了していたが、休館日は避けて行ったので、当然常設展示が見られると思っていた。
 施設ガイドにはコレクション展示室という名称もちゃんとある。ところが中心となる有料展示室は全部閉ざされていて、次は4月の5日(?)からとか。それもインフォメーションの女性スタッフによれば、新聞社共催の企画展のようだ。
 「常設展は無いんですか?」と尋ねると、「まだ展示をどうしていくかは、はっきり決まっていませんので・・・」と驚くべき返答だった。

 まさか方針未定はありえないと思うけれど、コンテンポラリー・アートを取り上げていこうという美術館だから、常設展示という概念を相対化して、コレクションを短いサイクルで展示替えしていくようなことを考えているのだろう。
 それにしても、開館展のあと、市民がこの美術館へ来ても中心になる展示室は全部クローズドで、ほとんど何も見られない期間が1?2週間もあるというのは信じられない。

 マスメディアを使ったPRが上手で、この美術館を紹介したテレビ番組を見た人は、よほど魅力的な美術館だと思うのではないか。私もそうだったが、来てみるとテレビでみた印象とはかなり違う。規模も思ったよりずっと小さい。円の輪郭の内部に、博覧会のパビリオンのように、大小幾つかの直方体の箱が置かれている、と思えばいい。その箱が展示室だ。すべての展示室がオープンしていても、たぶん見て回るのに小一時間もあれば十分で、見方によっては疲れなくて済む手頃な規模かもしれない。
 
 休館日でもないのに、今日の来館者が見られたのはサークル状の細い館内通路の外側に配された数点の作品と「タレルの部屋」と名づけられた一室、それに通路から垣間見える作業中の中庭(「光庭」)に設けられたレアンドロ・エルリッヒの「スイミング・プール」(ただし、プール内部にははいれないので、どこにでもあるプールとして眺めるだけ)と、パトリック・ブランの「緑の橋」くらいのもの。

 「タレルの部屋」は何も無い空間だが、天井に四角い大きな穴があいていて、今日も昼間は青空が見えていた。「ブルー・プラネット・スカイ」という、ジェームズ・タレルの作品だそうだ。金沢のことだから、この穴から室内に雪が降ると面白い光景になるかもしれない、と思った。

 休館日でもないのに、訪れる市民にとっては休館日同様の今日の美術館で一番良かったのは、午後10時まで開いているというカフェレストランだ。
 前は全面ガラスで視覚的に外と内の境を消し、内部は白が基調で明るい。私にはまぶしい、けばけばしい白で、もっとシックな色がいいけれど、若い人好みかもしれない。

 料理もセットメニューのメインディッシュは美味しいと思わなかったが、前菜とデザートが良かった。前菜は肉、野菜、魚介類など、様々な素材を調理した極めて多種類の大皿が並んだコーナーから、各自自由に選んで、プラスチックの広い皿に取り放題。おかわりもできる。これは若い人に受けるだろう。一つ一つの味も悪くない。

 デザートも多種から選べて、どれもおいしそうだし、若者向きにボリュームがある。コーヒーカップなども面白いデザインのものを採用していて、楽しめる。ちなみに、私が選んだのは、マンゴー添えジェラートののったジャスミン風味のクリーム・ブリュレ。これは良かった。

 前菜からメインディッシュ、デザート&コーヒーまで、「上」の部のワンセット2000円少々は、昼食としては高めかもしれないが、内容を考え、オシャレな雰囲気が楽しめることを加味すれば、コストパフォーマンスは悪くない。

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