2025年02月09日

きょうの比叡

今日の比叡アップ
 朝方の雪は市街地ではすっかり融けてしまいましたが、きょうの比叡、午後4時近くにいつもの区役所へいく道にかかる橋の上から眺めると、山の斜面に雪が残っていました。こうして自分が住む土地のランドマークのような高いお山が毎日見られて、それが季節ごと、月ごと、日ごと、あるいは朝夕、刻々と姿を変えるのを眺めることが出来るというのは、本当に幸せなことですね。

   加藤静允先生にいただいて毎日眺めている画集『春花秋冬帖』は、元旦の、比叡初冠雪で始まり、季節ごとの様々な比叡の表情をとらえています。岩波のPR誌『図書』の昨年の表紙を飾ったこの画集から採られた一葉に、「葉裏白山」という、私も先生の絵と文章を拝見するまで知らなかった珍しい比叡の姿もあります。風の強い日、木々の葉が風で裏返って全山しろくなることがあるそうです。長年ここに住んでいますが、日々比叡の姿のうつりゆきをとらえるだけの心のゆとりを持つことができたのは、ごく最近のことで、そうした現象が起こりうることは理解しても、まだこの目で見る幸運にはめぐまれていません。

 夏まではまだ半年近くあるので、そこまで何とか生き延びて、文字通りの「葉裏白山」をこの目で見たいと思っています。

 私はこの画集の比叡のある絵では、春好日の想い出にと描かれた、仕事場に机に向かう先生の後ろ姿のむこう、戸を開け放したその向こうに見える比叡山という構図の絵がとても好きです。こうして人の姿が入っているせいか、なんだかほんとうにほっこりして温かい気持ちになるのです。絵に付された先生の文章にはこうあります。

  里の花が散って、山の花が
  咲く頃、戸開け放した仕事場で  
  泥遊び出来る一日は最も
  うれしい一日です

  お顔は向こうを向いているけれど、絵の中の先生が本当に生き生きとして楽しげであることは、座机に向かい、どっしりと座布団に坐りながら、しゃきっと首をまっすぐにして土捻りをしているらしい後ろ姿を見るだけで伝わってきます。そして目の前の巨きな比叡の山が、それに向き合うように土いじりされている先生の心の気宇壮大な世界そのままであるように感じられます。

 秋の比叡も先生の筆にかかると、目を引き付ける華麗さや鮮やかな色どりを見せるオブジェというよりも、無数の人々の喜びも怒りも哀しみも楽しさもみな包み込んだ母親の胸のようにやさしく温かい肌合いをみせながら、同時になにものにも動じることなく、どっしりと安らいだ姿をみせる、とても人間的な山の姿になっているようにみえます。目で見ても山はこういう姿を現わさず、心で見てはじめてこのような姿を現わすのに違いありません。

 .比叡山麓秋景図
  霜葉無限紅黄彩

と記されたこの絵の隣のページに、こんなことが書かれています。

  いつもいつも比叡山を画きます。くり返しくり返し比叡山を画きます。特に秋は。十一月の末頃、とくに午後三時から四時ごろ夕日に映える様はみごとです。  
  毎朝毎朝、毎日毎日何回か、比叡山を仰ぐのですが毎回違います。ずい分ちがいます。今日はとあまり気を入れて仰ぐと恥ずかしがってか雲にかくれていることもありますが。

 私の家の中からは、窓から身を乗り出して辛うじてコンクリート長屋の左端にちょっと比叡の姿が見られる程度で、晴れた日にリハビリ自転車で外へ出るときでなければ、ほとんど比叡山を自然に仰ぎ見ることはありません。「毎朝毎朝、毎日毎日何回か」比叡山を仰ぎ見られる先生には、それだけでもかなうわけがありません。

 けれども私のような気まぐれな見方をしていても、退職して家にいるようになって自由な時間が多くなるにつれて多少は見る回数も増え、自然に比叡山の季節ごと、月ごと、日ごと、時間ごとの変化にも少しずつ敏感になってきたことは確かです。これからどれだけ繰り返して様々な比叡の表情を見ることができるかわからないけれど、その素晴らしい自然の妙をより敏感に受け止めることができる自分でありたいと思います。


今日の夕餉

★鶏肉入りかす汁
 私にとって一番の御馳走は、この粕汁でした。とても体があたたまります。鶏肉入りにしてくれたので、いっそう美味しくなったようです。

★子持ち赤カレイの煮物
 子持ち赤カレイの煮つけ

★小松菜のおひたし
 小松菜のおひたし

★野菜のかき揚げ
 野菜のかき揚げ  これは私の好物です パリッと揚がっていてとても美味しい

★キスの丸干し焼き
 キスの丸干し焼き

★カブラの千枚漬け風
 カブラの千枚漬け風

★すき焼きののこり
 昨日のスキヤキの残り

★スグキとキムチ
 スグキとキムチ

(以上です)

きょうの上賀茂野菜
 きょうの上賀茂野菜  寒かったけれど、少し動く方が体調がいいようなので、頑張って電動アシスト自転車を走らせて上賀茂の野菜自動販売機6か所を覗いて、いくつかの野菜を仕入れてきました。戸田農園さんのところでは、最後に残っていたやや大きめの2個400円のトマトと、200円のネギをゲット。ほかの二、三の販売所で、ニンジン(200円)、レタス(100円)、セロリ(200円)、チンゲン菜(100円)、ほうれん草(100円)、小松菜(100円)を買ってきました。

 肺の呼吸困難、激しく手頻繁な咳、頭痛、左肩の激しい凝りと痛み、腰の痛み(椎間板ヘルニア)、おそらく薬害による胃腸障害、左目の強い斜視による視覚障害、遺伝的なヘパーデン症候群による手指第二関節、特に右人差し指の痛み、花粉症が原因らしい不断のハナミズ等々・・・いまはまさに病気や痛みのデパートみたいな私ですが、それでも適当にやり過ごせる部分はやりすごし、どうにもならない部分は副作用はあっても薬剤によって痛みや症状を軽減して、なんとかもちこたえています。

 不思議と電動アシスト自転車には、サドルにまたがって、電気スイッチオンして走り出せば、それほど息を切らすこともなく、そこそこフーフー言う程度で、なるべく電動アシストさんに委ねて、足の回転は最小限にし、力をかけないように乗ります。そうすれば、上賀茂の自動販売機を6か所めぐって帰ってくる程度のことは、それほど苦にならず、多少疲れはしても、むしろ腰や胃腸や筋肉の状態は血流がよくなるせいか少しベターな状態になるような気がします。だから、よほど寒い風が吹くようなときや、最初からしんどいときでなければ、できるだけ2日に1度くらいは外の空気を吸ってくるようにしています。

 こんなに寒いのに自転車で走ったりして、元気やねえ、共同庭の掃除のときとえらい違いやなあ(笑)と同じ共同住宅の方たちには思われているかもしれないのですが、長い時間立っていたり、自分の体重を支えて歩行する、というのはしんどくて、実際上ほとんどできなくなっているのです。でもはた目にはなかなかそんなことは分からないでしょうね。

 それに、着替えをするときのような身体の各部の動かし方をするのが、かなり以前から非常に苦手というか、異常なほど息が切れるのです。これは私にはなぜだかよく分からないのですが・・・。あとはもちろん2階への階段を上がるのがひどくつらくて、しっかり腕で手すりをもって体を引き上げるようにして、一段ずつ一度両足を揃える形で、また片足で一段あがって両足をそろえる、というふうに時間をかけて上がればなんとか、そこそこ息が切れる程度で上がれます。片足ずつ普通の人のように上がったりすると、ほんとに最上段では息が苦しすぎて呼吸困難で倒れかねないほどになります。

 あと、これもなぜかよく分からないのですが、上下する体の動きがひどくこたえます。アーちゃんの餌の世話をするために腰を下ろしていて、急に立ち上がったりすると、さっと血の気が引いて貧血状態になると同時に息も激しく切れて呼吸困難に近くなり、どうなることかと自分で心配になることが多い。そういうときは近くの柱などにしがみついて、しばらく目を閉じてじっとして、少なくとも貧血がおさまり、呼吸がまともにできるようになるのを待ちます。
 先日はそれでも気分が悪くなってきて、これはヤバい、と思ったので、アーちゃんの暖かい部屋ですぐ横になってしばらくそのまま起き上がることができずに横たわっていました。ケージの戸をあけっぱなしてあるアーちゃんが、心配してくれたのかどうか、しきりに私の顔の上まで飛んできて旋回を繰り返していました。

 今の私の正直な体調というのはこんなところです。でもこうして机の前でパソコンに向かってキーボードを打っていたり、近くを見る読書用メガネをかけて静かに本を読んだり、ノートを取ったりしている分には、ほとんど咳も出ないし、呼吸困難にも陥らず、いろいろな痛みもおおむね忘れて作業に集中できます。まあそれが自分にとって楽しいことだからでしょう。
 食事のときに降りていくと、やっぱりひどい咳が続けて出るので、「食卓に向かって咳をしないで!」と叱られることもしばしばですが、大抵は家の中でもマスクをかけていますから、叱られるのは、うっかりそれを外していて忘れている場合です。

 食事をしているときは、不思議にあまり咳き込んだりはしません。食事が終わって、皿を洗い場へ運んだり、口を洗い歯を磨きに洗面所へ行こうとすると、とたんに激しく咳き込んだりします。やはり動かないところから、いきなり動き出すときが、一番よくないようです。また、そうして動いたあとも激しく咳き込んで何もできないことが多くなりました。

 だんだん状態が悪くなっているな、というのは自覚できますが、いつほんとうに終わりが来るのかはなかなか自分には予測ができません。主治医にもわからないのかもしれません。酸素ボンベをそろそろどうですかと勧められたけれど、一度使えばずっと使わずにいられないでしょうから、もう少し様子をみさせてください、といって辞退したのですが、使い始めないとどうにもならないときも、そう遠くはないかもしれません。

 こういう話は夫婦の間でしても、もうどうにもなることではないし、暗くなるだけなので、彼女もいやがるし、よほどしんどくて何か対処が必要な場合以外は話題にもしません。体の痛みとか苦しさといったものは、所詮その人間が耐えるしかないものですから、腹を据えて引き受けるほかはないでしょう。むろんできるだけ軽減することが出来る限りは手をつくしてみようとは思っています。

 きょうもなんだかんだ言いながら、無事に一日を終えることができました。すべてに感謝です。

今日の比叡





saysei at 22:09│Comments(2)

この記事へのコメント

2. Posted by saysei-kyoto   2025年02月10日 22:27
コメントありがとうございます。料理は完全にパートナーの領分で、私は写真を撮って感謝の気持ちを忘れないようにブログにアップするだけです。でも、唯一わたしが貢献しているのは、晴れた比較的暖かな日に電動アシスト自転車で覗きにいく上賀茂の野菜自動販売機の野菜をいくつかの百円玉を用意して買ってくることです。野菜そのものの味がとても美味しいので、パートナーはそれを生かそうと毎日張り切って工夫してくれています。おかげで食事を美味しく楽しくいただけて、私の余命も予想より少々延びているようで、頑張れるところまでは頑張ってみようと思っています。ありがとうございました!
1. Posted by まるこ   2025年02月10日 12:24
こちらはいつも料理の写真や素敵な風景の写真を見て、元気をもらっています。お大事になさってください。

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