2024年07月29日

詩と恋

 <詩>は今回は不運にも敗れてメダルを逸し、<恋>は14歳の初舞台で金メダルを勝ち取りました。これまで外野席で眺めていると、何かこの二人のアスリートのありようが、対照的なものに見えます。

 いずれもそれぞれの競技でのたぐいまれな資質と才能に恵まれた上に、彼女たちの日常生活も競技に向かう自分を中心にまわるような、厳しくたゆみないトレーニングを積み重ねてきた点では共通するところがあるに違いありません。

 <詩>が自身の関わる競技や日常的なトレーニングに向き合う姿勢は、どちらかといえば、その分野で過去の長い時間をかけて形成されてきた伝統的、正統的なもので、その道の競争において勝ちぬき、栄冠をつかむために、いわば自分の心身をいじめぬく苦行のような修練を自身に課し、競技以外のことについては極めて禁欲的な姿勢をつらぬくように見えます。
 それに耐えた者だけがアマチュアとは画然と区別されるプロフェッショナルな競技者になりうるのです。そして、勝敗を競い、勝てば何よりの栄誉であり、負ければ屈辱以外のなにものでもありません。そのような競争的な勝敗の価値観を植え付けられているからです。
 また、その背中にはしばしば指導者層に代表されるような彼女自身もそこから生まれてきた伝統的な競技団体やその長い伝統、あるいはときに国家までをも負うことになるのが見られます。

 他方<恋>の競技や日常的なトレーニングに向き合う姿勢は、徹底した個人ベースでの楽しみであり、好きで好きでたまらないし、だから四六時中やっていると、昨日できなかったことが明日できるようになる、それが嬉しくてさらにのめり込んでいく、そうしたことの繰り返しの日々から、若いというよりまだ幼い年齢のうちから、突出した才能が開花した、というふうな現象が、これはつい最近になって私たちの目に触れるようになった、まったく新しい競技アスリートの出現です。
 そこにはアマチュアとプロの境はなく、スケボーで遊ぶ幼い子供からトップアスリートまで切れ目なく自然につながる一連の成長の過程に過ぎません。
 競技者どうしは同じ競技を愛するゆえの共感で結ばれた親密な友のようであり、年齢その他による上下関係など一切なく、ましてや組織や伝統等々に支配されることなどありえない、互いにまったく対等な個人の絆によって結ばれているようです。
 技の優劣で勝敗を競い合っても、結果としての勝敗に栄誉か屈辱かという一面的な価値観による評価や感じ方がないようです。むしろ優れた技、新たな技を生み出した仲間を心から祝福し、称えて駆け寄る笑顔がすべての競技者に見られるようです。その競技のありよう、トレーニングのありよう、競技者どうしの人間関係等々、すべてが開放的で、みんな本当に楽しくてたまらないように見えます。
 実際、今回金メダルをとった<恋>は、オリンピックって楽しいね、と言っていたようです。彼女の言葉は、たぶん金メダルがとれたから楽しいという意味ではないでしょう。

 私は柔道とスケートボードのありようを比較して前者を貶めようとするのではありません。スケートボードはスポーツとして知られるようになったのは、ごく最近のことでしょうし、それだけ自由度が高いのも当然でしょう。柔道は嘉納治五郎から数えても、すでに百数十年の歴史を経て、良きものも悪しきものも数多くひきずって歩まざるを得ない面があるのもまた当然でしょう。

   競技種目がまるで異なるので、スポーツとしての在り方やアスリートのありようを単純に比較することもできないことは分かり切ったことです。

 それでもスポーツはスポーツとしての、アスリートはアスリートとしての共通点があるに違いない、と私は思います。その共通点に立って考えるとき、これまでの少なくとも日本のスポーツのありかた、アスリートの在り方は、圧倒的に「柔道」的なそれに拠っていたように感じます。そこへまったくその固定したありよう、考え方に風穴を開けるように、「スケートボード」的なものが生まれてきたという印象を拭えません。
 私はそれが単にスケートボード的なスポーツにとどまらず、逆に、すべてのスポーツ、すべてのアスリートが、「スケートボード」的なものになっていく、最初の兆なのではないかと感じています。そして、そうであればいいな、と思っています。


きょうの夕餉

★モロヘイヤのポタージュ
 モロヘイヤのポタージュ。野菜は何でもポタージュスープになるようです。とても美味しかった。

★鶏つくねのポルチーニクリーム煮
 鶏つくねのポルチーニクリーム煮

★ラタトゥイユ
 ラタトゥイユ。昨日パートナーがつくっていた、ありとあらゆる野菜の集合体。すっごく美味しい。

★チキンの白ワインクリーム煮
 チキンの白ワインクリーム煮。プラムと鶏肉を一緒に食べると美味しい。

★砂肝のコンフィ
 砂肝のコンフィ

★サツマイモのサラダ
 サツマイモ(+チーズ+クルミ等々)のサラダ

 写真を撮り忘れましたが、デザートにはほぼほぼこれが最後というマンゴーをいただきました。めちゃめちゃ美味しかった。

 きょうは長男も一緒の夕餉でした。

 朝方には、次男も家の鍵をどこやらへ置いてきたとかでわが家の予備キーを仮にきて顔をみせました。こうして、息子らが、ときどきでも、ただ顔を見せて、ふたことみこと言葉を交わすだけでも、つつがなく過ごしていることがわかって、なんとなく私達老夫婦は安堵するところがあります。

 きょうの京都市最高気温は36℃だったそうです。今週はずっとそんな高温が続くようで、「危険な暑さ」というやつで、私のような老人は外に出ないのが賢明なようです。

 ようやくGoogleサイトに移転したHPの読書感想の欄も、旧来のHPに出していた本の感想は全部アップしてリンクを張りました。あとは項目数の多い映画の感想欄だけですから、まぁほかのことをしながら、ぼちぼちやっていきます。




saysei at 22:18│Comments(0)

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