2017年12月11日

一乗寺界隈

(1)マヨルカ書店

 久しぶりの京都極私的案内、何回目かも忘れるほどで、前に書いたのがいつか忘れてしまいましたが。

 以前に修学院あたりから大原街道を北大路まで下がってくる道々をご紹介してきたので、きょうは京大、京都工芸繊維大学(「工繊」)、京都造形芸術大学などの学生さんが数多く暮らす、左京区一乗寺界隈を、最近西陣から引っ越してきたマヨルカ古書店から、ローカルながら都心の料亭にひけをとらない味の「そば鶴」までご紹介しましょう。
 
 まずは上の写真、マヨルカ古書店。きょうも暗くなっても店の前に自転車が何台かとめてあって、狭い店内には若い人が。2階の窓にもブラインドにお客さんの影が映っていました。西陣よりはきっと学生など若いお客が多いと思います。いいところへ越してこられましたね。

 店においてある古書も、それ以外の雑貨小物も、いまの若い人が興味の持てるような、いまふうのお洒落な古書店さんです。北大路と叡電の交差する踏切からほんのちょっと上(北)へ上がった東側で、小さいお店で看板も小さいから、うっかり通り過ぎちゃうかも。

(2)マヨルカ書店近く

 マヨルカさんから数メートル先のご近所には、ちょっとおしゃれなカフェもできています。

(3)マヨルカ書店近くのカフェ

 道を隔てた向かいを少しいったところには、マンションの1階に、これは布というか縫製のバッグとかつくって販売もしているお店でしょうか。これもなかなかお洒落なおみせで、いつもまえをとおるのだけどはいったことがなくて、正確には分かりません。

(4)マヨルカ書店近くのマンション

 マヨルカさんのすぐ近隣、少しへっこんだ所に、大きな新しいマンションらしいのが建っています。そういえば、このへんは次々に結構高層の新しいマンションが次々に建っています。大学などへのアクセス、都心へのアクセス、自然へのアクセス、それに日常生活にかかわりの深い店(イズミヤ、カナート、HELP、中村屋、ユタカ)の多様さ・豊富さ、情報発信性のある書店(恵文社)や「ラーメン街道」と言われる沢山のラーメン屋の集積等々が、住むのに非常に便利・快適にしているせいで、けっこう人口も増えているのではないでしょうか。

(5)福山マンション

 これは福山マンションだったかな。古くからあって、昔、新婚の友人夫妻が4階に住んでいて、エレベーターがないので、よく酔っ払ってフーフー言いながら階段を上がり、夕食時に上がり込んで遅くまでお喋りしたり・・・ひどいことをしていました(笑)

(6)はるちゃんちのマンション

 曼殊院道に出る角には、孫のお友達が住んでいる大きくて入口を見てもかなり豪奢なマンションが建っています。底を右手(東)方向に曲がって行くと、じきに叡電の一乗寺駅ですが、きょうは左に曲がります。
 
(7)酒屋
 左の角、マンションの向いは、酒屋さんです。結構色んな種類のお酒を置いたお店です。

(8)靴屋

 そのお隣は靴屋さん。

(9)毛糸屋

 その向い(曼殊院道の北側)には、毛糸屋さん。少し以前はここにゲームセンターがあって、小中学生が入り浸ったりして困っているお母さんがたがありましたが、いまはちょっとおしゃれで大きなこのお店が入って、いいムードです。

(10)並びのお店

 酒屋さん、靴屋さんの並びにケーキ屋さん、定食屋さん?などが並び・・・

(11)ユタカ

 その向いは水泳教室などのあるエルスポーツと、日常雑貨・駄菓子・飲料・薬などを置いているユタカ。ここも毎日のようによく使う店です。市販の薬、シャンプーや歯磨き、ティッシュやトレペ、ジュースなどちょっとした飲み物や子供の駄菓子、それにボールペンやのし袋や乾電池など、文具・生活雑貨はたいていここで間に合います。
 
 かつてこの場所には、京一会館という映画館がありました。もう半世紀も前のことですが(笑)。あの学生でこの辺に住んでいた人は知らない人はいないでしょう。通りに向かって派手派手しいエログロナンセンス的な映画のポスターが貼ってあって、ここへ入るのはすごく恥ずかしかったけれど、実はそれはこの映画館の半分の面で、後の半分は、けっこう硬いアート系の映画を一人の監督にしぼって1週間やってくれたり、のちに名作と言われるようなやくざ映画のシリーズものなどをまとめて見せてくれたり、いわば志のある人がやっている映画館でした。お色気の方の映画は営業上の必要性から上映されていたのだと思います。

 でも実際にちょっとあちら系のアンちゃんが前の椅子の背に足をどかっとのせていたり、トイレの臭いがいつもしていたり、まぁ場末の映画館的な雰囲気も濃厚ではありました。

 いま一乗寺界隈に欠けているものがあるとすれば、映画館でしょう。今度出町桝形商店街にできる出町座のようなのが、本当はここにも来てほしかった。これほど若い人たちが多く集まってくる町に、それは相応しい娯楽文化施設だと思います。

(12)けいぶん社

 ユタカの前から曼殊院通りに面して立ち、西南のほうをみれば、もう一つのケーキ屋さんのむこうは、いまは大きくなった「恵文社」のクリスマスツリーのイルネーションが目につきます。毎年この時期にはこれがともるようになりました。

(13)けいぶん社2

 恵文社。以前はまん中の部分だけの小さなローカル書店でしたが、仕入れや棚の品ぞろえをアルバイトの女子大生などに任せて、若者の感性に訴えるような店づくりに成功し、両隣の別の店だった(向かって右隣りはたしかカフェ兼ケーキ屋だった)スペースを買い取って、書店の部分とつながったお洒落な雑貨売り場を整備し、雑誌エルマガの左京区特集では小西真奈美が恵文社の扉から出てくる大きな写真が表紙になるなど、メディアでも頻繁に取り上げられ、みるみる客層がお洒落ないまどきの若者に特化していって、電車に乗って遠くからわざわざ訪れるような本屋になりました。そのおかげで、私のような爺さんがよれよれの普段着姿でつっかけ履いていくのはちょっと憚られるような店になってしまいました。

 次男のCDもここにおいてもらっていて、一時は特設コーナーで彼が選んだ本と一緒に紹介してもらったりして、けっこう売れたようです。また、裏のカフェ兼イベントスペースでは、ミニ演奏会や演劇系パフォーマンスをやらせてもらったりもしたようで、いつも活発に動いている書店です。

(14)時計やさん

 恵文社の前を通り過ぎると、同じ並びにちいさな時計屋さんがあります。タカギ時計店。ここのご主人は、いまではほとんどいなくなってしまった万能の時計修理技術をもった腕の確かな職人さんです。私は大学の入学祝に亡父がくれたブランド物のスイス製腕時計や、その父が亡くなったときに遺された同様の腕時計を引き継いだものの、分解掃除やちょっとした修理だけで2万も3万もかかるので、とてもやってられなくて傷むのも構わずほったらかしにしていたのですが、ここのご主人はメーカーの職人がやるのと変わらない精度でその仕事をして、いまでもそれらの時計は生きています。もう半世紀以上も使っているのですが・・・。百貨店などへもっていっても、結局人が居ないから、こういう職人さんのところへ廻ってくるのだとか。

 こういう職人さんの店はぜったい消えて欲しくないな、と思います。ローカルなすばらしく美味しい和菓子の店(うちの比較的近所では友恵堂さんの柏餅など)も同様です。どこで買うより美味しいのですから・・・

(15)ラーメン屋

 さてさらに行くと、東大路の延長上にあるとおりに出ます。このあたりがラーメン街道で、それを構成するお店の一つである「珍遊」がすぐそばにあります。ほかに並ぶ店はいっぱいありますが、私たちは個々が一番ふつうの美味しいラーメンを食べさせてくれて安心です。

(16)そば鶴

 その東大路の延長にあたる大通りを渡って急に狭区、路地のようになる道の右手にあるのが、われらが「そば鶴」です。蕎麦も美味しいけれど、ここの一品料理がまた素晴らしく美味しいことは、これまでこのブログでもたびたびご紹介してきました。先代のころからよく行って、娘さんがまだ幼いころから店の中を歩き回ってお母さんのお手伝いをしていたころからのおつきあい。いまはご両親が亡くなられて二人のとびきりイケメンのお兄ちゃんと気立てのいい妹さんとでこの店を経営しています。

 いつも料理に工夫があり、新しいチャレンジをするところも、すばらしい。上のお兄ちゃんはお母さんに似ていつも明るい笑顔で人当たりがよくて、の方に出て馴染みの客と言葉をかわしたり、まさにうってつけのキャラ。弟さんのほうはたぶんキャラがお父さん似で、どちらかと言えばシャイで、あまり調理場から出てこない。でも調理の腕はこれも料亭で修行されたらしい父親譲りの凄腕で、ほんとうに美味しいものを作ってくれます。私も会社の株主総会だとかクライアントの接待だとかで、京都では一流と言われるお店でお相伴に預かったり、結婚披露のあとや、両親の法事のあとの親戚の接待なんぞで、ふだんは近づくこともないその種の店で何度か食べてきたけれど、味に関する限り、決してそれらで出される料理の味にひけをとりません。とりわけ創意あふれるかぶら蒸(幾種類かありますが、私は青葉の季節のエンドウのが好き)は絶品で、これは一流料亭の味のさらに上を行く絶品でした。

 ブランドになった有名店の料理をおいしいと思い、無名の店の料理はどんなに美味しくても美味しいと気付かない人もいて、そういう人はグルメを装っているけれど、実際には何もわかっていないのだろうなと思います。自分がどっちだろう、と思う方は「そば鶴」で一度、いくつかのおすすめ一品料理をとって、お兄さんの勧める酒でも飲みながらやってみてください。一流料理店の料理を、店の名など忘れて純粋に比較してみて、この店の値打ちが分かるようなら、その人はきっと舌がほんとうによい人だろうと思います。ローカルな「そば鶴」という店ゆえ、たかをくくって自分の舌の貧しさを露呈されないように(笑)

 そんなことより、あるとき妹の自称看板娘から聴いたのですが、この弟君の将来の夢が、給食が不味いから、子供たちのために本当においしい給食を作ってやりたい、というのだと。これを聴いて益々熱いファンになり、この店だけはぜったいにつぶせない、と思ったのでした。幸いもうたくさんの熱烈なファンがついていて、土日などは満員御礼状態のようです。でも都心の宣伝上手の店ではない、地域のお店だから、平日はけっこうあいている日もあって、いっときに集中したり、またあいたりと、客商売の難しさを感じます。

 さて、一乗寺界隈にはまだまだ色々ありますが、きょうはこのへんにしておき

saysei at 12:12│Comments(0)

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
記事検索
月別アーカイブ