2023年06月30日

「水無月」を食べる日

水無月
  前後しますが、きょうは夕食後に、和菓子の水無月を食べました。ほかの土地にこういう風習があるのかどうか知りませんが、京都では6月30日、ちょうど1年の折り返しの日に、このお菓子を食べて厄払いをするようで、わが家も毎年この日には水無月をいただきます。
  
  名前は特別なものですが、要は外郎(ういろう)の地に小豆餡をのっけて、三角に切っただけのもので、ほかの和菓子のほうが美味しいけど(笑)、まあこれは「夏越(なごし)の祓」という神事に因んだものですから、伝統に従ってこの日にはこれをいただきます。少しはバラエティがあるのか、きょういただいたのは黑糖味で、わりと美味しかった。

  京都では、この日にはこれを食べる、という決まりごとがとても多いようです。今日の水無月もその典型的なものでしょうが、ほかにもその種の菓子類等々がいっぱいあって、おそらく商家ではご近所の決まった菓子屋へ小僧さんが走って、その日には店の方もちゃんと決まった伝統菓子を用意していて、それを家族でいただいたのでしょうね。小僧さんたちにまでそれがまわったかどうかは知りませんが(笑)。

 なんせ噂によれば京都の商家の主はめちゃめちゃケチで、おまけに下の者にはめっちゃ厳しい個人商店のワンマン主人ですから、下働きの従業員には、おからと何とかだけしか与えなかったとか。
 十分な食事を与えられないために、小僧さんたちは仕方なく自分で近所のパン屋さんでパンを買ってきて食べるのが習慣だったので、京都は日本一パンの消費量が大きいのだとか、嘘か真実か私は自分で確かめたことはありませんが、そんな噂が定着するほどケチというか、つましい生活スタイルを固く守っていたのでしょう。

 それはともかく、この日は決まってみながこれを買いに行って食べる、という文化が、京都の街々にいまも残る、すばらしく美味しい手作りのお菓子を安くで売ってくれる、地域の古い小さな和菓子屋さんを今に至るまで生き延びさせてくれたのだろうと思います。

 うちの近くの大原通を少し上へあがったところにある友恵堂さんという和菓子屋さんもそういうお店でしょう。百貨店なんかで売っているようなブランドものの和菓子にも決してひけをとらない美味しさと、梅や桜を象り、鶯色の柔らかな餅、柏餅の季節には忘れず柏餅を出すというふうに季節ごとにさりげない工夫のある菓子意匠にいつも感心し、同時に百貨店の半値くらいの安価な値段に申し訳ないような気持ちで感謝しながら買ってきています。


きょうの夕餉

★シイタケのクリームスープ
 シイタケのクリームスープ。これも長男がプレゼントしてくれた、マルチハンドブレンダーという簡単に使えて簡単に洗える万能調理器具であっという間に作れるンそうです。パートナーはこのところこの器具で何でもすりつぶして、いろんなものを混ぜたオリジナルなスープ類などを作っています。シイタケ嫌いの孫が一緒だった3日間のあとはシイタケ三昧で(笑)、きょうもシイタケのオンパレード。このスープもシイタケの味と香りが立っていて、とっても美味しかった。孫はすばらしい舌を持っているのですが、シイタケだけは苦手。彼女もこの味が楽しめるようになれば画竜点睛といったところですが・・・

★ロールチキンの茸クリーム煮
 ロールチキンのキノコクリーム煮。ミンチの中にシイタケ、タマネギを入れ、ハーブで味付け。ズッキーニとインゲン添え。ポルチーニでコクのある味が出ています。野菜はみんな上賀茂野菜です。上賀茂野菜がみな水分をたっぷり含んだジューシーで、しかも味とりわけ甘味の濃い、新鮮な野菜なのは、おそらく水と土のせいでしょうが、水といえば葵祭直前の御蔭祭のときに山の中に入って御神水を汲んでくる行事があるように、北山一帯は御神水の湧き出るところで、その水が市街地まで流れて来て、上賀茂神社、下賀茂神社、御所など地下水の主脈を形づくってきた京都の地下の、琵琶湖ほども水量があるらしい水甕の水ともなり、また上賀茂一帯の田畑を潤し、季節ごとの野菜を育む源でもあるわけです。
 そういえばもうひとつ、北山の重なる山並みを龍に見立てれば、水神でもあるその巨大な龍が最初に降り立つのが神泉苑だそうです。いまは二条城に敷地をほとんど取られて、ごく狭いところに押し込められたようになっていますが、平安時代にはいまの二条城の辺りは全部神泉苑で、広大な敷地に広大な池があって、そこに屋形船など浮かべて貴族らが遊ぶ京都一の庭園だったようです。そして、京都中が渇水して干上がっても、この神泉苑の水だけは絶えなかったので、いよいよのときは、ここを管理した天皇が庶民に水を分け与えたといいます。弘法大師空海がここで干ばつの折に雨乞い祈祷の競争をやって相手を負かして見事に雨を降らせたのは有名な話ですが、ほかにも静御前がここで舞ったとか、今昔物語に出てくる陰陽師安倍晴明にもゆかりの地だったかと思います。

 話が脱線しましたが、私たちが毎日いただいているジューシーな上賀茂野菜は、いわばそうした京都の神様がお住まいになっている北の山々に湧き出る御神水を飲んでいるようなものだと思います。そう思えば元気がみなぎってきますね(笑)。

★パンコン・・・
 バケットと、トマト、ひよこ豆、茄子のディップ。ディップに入れてある、わが家で大きくなったディルの香りが素晴らしい。

★砂肝のコンフィ
 砂肝のコンフィ(のこり)

★サラダ
 グリーンサラダ。

(以上でした。)

 今日は少し古今集を読み進みました。二、三首しか進まなかったけれど、色々調べることがあっていい勉強になりました。文法も大体分かっているつもりでも、結構奥が深くて、よく分からないケースに出くわすと、文法書や古語辞典の解説など読んで書いてなかったり、頼りにしている専門家の解説にも全然触れてなかったりします。

 でもウェブサイトでこまめに、しつこく探すと、戦前の独自の文法を唱えた文法学者の記述なんかが出て来て、そこにはまさに私が躓いている箇所が例文として取り上げられて解説されていたり。むろん丸ごと信じていいものじゃないかもしれないけれど、少なくとも自分が納得できる解説に出遭ったりすると、やはりウエブサイトの情報も馬鹿にならないなぁと思います。

 昼過ぎには団地で申し込みをとりまとめて業者さんにまわってもらう年に一度の排水管の清掃に申し込んでいたので、予約通り来てくれて、点検と管内部および玄関先のマンホール内の清掃をやっていってくれました。これでまた1年間安心して使えます。

 きょうも雨が降ったり、けっこう変わりやすい蒸し暑い天気でした。長男の部屋のエアコンが赤いランプがついて、アーチャンみたいにピイピイ鳴くので、だめかと思っていたら、ちゃんと除湿や冷房の機能は動くようで、今日の昼間はずっとかけていて、とても涼しく快適でした。温度が比較的低いうちはアーチャンの部屋だけはエアコンを24時間つけて一定の温度にしていたのですが、さすがに夏が近づくと必要ないので、いまはアーチャンは冷暖房なしです。もともと熱帯の鳥のはずですから、暑いのは比較的平気なんだと思います。ずいぶんお歳のはずですが、やたら元気です(笑)。








saysei at 21:26│Comments(0)

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